26段:風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に、馴れにし年月を思へば、あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから、我が世の外になりゆくならひこそ、亡き人の別れよりもまさりてかなしきものなれ。 風も吹き荒れていないのに散ってゆく花のように、移り変わってゆく人の心、過去に親しんだ月日のことを思うと、しみじみと感動して聞いた一つ一つの言葉が忘れられない。そんな大切な言葉を少しずつ忘れ去っていっていることは、亡くなった人との別れよりも悲しいものである。

徒然草26段部分:風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に、馴れにし年月を思へば、あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから、我が世の外になりゆくならひこそ、亡き人の別れよりもまさりてかなしきものなれ。  風も吹き荒れていない … Read more 26段:風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に、馴れにし年月を思へば、あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから、我が世の外になりゆくならひこそ、亡き人の別れよりもまさりてかなしきものなれ。 風も吹き荒れていないのに散ってゆく花のように、移り変わってゆく人の心、過去に親しんだ月日のことを思うと、しみじみと感動して聞いた一つ一つの言葉が忘れられない。そんな大切な言葉を少しずつ忘れ去っていっていることは、亡くなった人との別れよりも悲しいものである。


“息子へ おまえにこの手紙を書いたのには3つの理由がある。 1. 人生は幸福も災難も無常だ。いつ死ぬかは分からないので早めに言っておきたい。 2. 私はおまえの父だ。私が言わなければ、誰も言ってくれない。 3. この手紙は私の悲惨な失敗体験から得たものばかりで、おまえの人生に役立つだろう。 今後の人生において、以下のことをよく覚えてほしい。 (1)おまえを悪く扱う人のことを気にしない。私とお前の母親を除けば、誰もおまえによくしてあげる義務はない。だからおまえによくしてくれる人を必ず大切にし、その

“息子へ おまえにこの手紙を書いたのには3つの理由がある。 1. 人生は幸福も災難も無常だ。いつ死ぬかは分からないので早めに言っておきたい。 2. 私はおまえの父だ。私が言わなければ、誰も言ってくれない。 3. この手紙 … Read more “息子へ おまえにこの手紙を書いたのには3つの理由がある。 1. 人生は幸福も災難も無常だ。いつ死ぬかは分からないので早めに言っておきたい。 2. 私はおまえの父だ。私が言わなければ、誰も言ってくれない。 3. この手紙は私の悲惨な失敗体験から得たものばかりで、おまえの人生に役立つだろう。 今後の人生において、以下のことをよく覚えてほしい。 (1)おまえを悪く扱う人のことを気にしない。私とお前の母親を除けば、誰もおまえによくしてあげる義務はない。だからおまえによくしてくれる人を必ず大切にし、その


徒然草29段.静かに思へば、万に、過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき。 人静まりて後、長き夜のすさびに、何となき具足とりしたため、残し置かじと思ふ反古など破り棄つる(やりすつる)中に、亡き人の手習ひ、絵かきすさびたる、見出でたるこそ、ただ、その折の心地すれ。このごろある人の文だに、久しくなりて、いかなる折、いつの年なりけんと思ふは、あはれなるぞかし。手慣れし具足なども、心もなくて、変らず、久しき、いとかなし。 ーーーーー 静かにもの思えば、すべて過ぎ去った過去のみが恋しくてどうしようもない。

徒然草29段.静かに思へば、万に、過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき。  人静まりて後、長き夜のすさびに、何となき具足とりしたため、残し置かじと思ふ反古など破り棄つる(やりすつる)中に、亡き人の手習ひ、絵かきすさびた … Read more 徒然草29段.静かに思へば、万に、過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき。 人静まりて後、長き夜のすさびに、何となき具足とりしたため、残し置かじと思ふ反古など破り棄つる(やりすつる)中に、亡き人の手習ひ、絵かきすさびたる、見出でたるこそ、ただ、その折の心地すれ。このごろある人の文だに、久しくなりて、いかなる折、いつの年なりけんと思ふは、あはれなるぞかし。手慣れし具足なども、心もなくて、変らず、久しき、いとかなし。 ーーーーー 静かにもの思えば、すべて過ぎ去った過去のみが恋しくてどうしようもない。


徒然草30段:人の亡き跡ばかり、悲しきはなし。 中陰のほど、山里などに移ろひて、便あしく、狭き所にあまたあひ居て、後のわざども営み合へる、心あわたたし。日数の速く過ぐるほどぞ、ものにも似ぬ。果ての日は、いと情なう、たがひに言ふ事もなく、我賢げに物ひきしたため、ちりぢりに行きあかれぬ。もとの住みかに帰りてぞ、さらに悲しき事は多かるべき。「しかしかのことは、あなかしこ、跡のため忌むなることぞ」など言へるこそ、かばかりの中に何かはと、人の心はなほうたて覚ゆれ。 年月経ても、つゆ忘るるにはあらねど、去る者

徒然草30段:人の亡き跡ばかり、悲しきはなし。  中陰のほど、山里などに移ろひて、便あしく、狭き所にあまたあひ居て、後のわざども営み合へる、心あわたたし。日数の速く過ぐるほどぞ、ものにも似ぬ。果ての日は、いと情なう、たが … Read more 徒然草30段:人の亡き跡ばかり、悲しきはなし。 中陰のほど、山里などに移ろひて、便あしく、狭き所にあまたあひ居て、後のわざども営み合へる、心あわたたし。日数の速く過ぐるほどぞ、ものにも似ぬ。果ての日は、いと情なう、たがひに言ふ事もなく、我賢げに物ひきしたため、ちりぢりに行きあかれぬ。もとの住みかに帰りてぞ、さらに悲しき事は多かるべき。「しかしかのことは、あなかしこ、跡のため忌むなることぞ」など言へるこそ、かばかりの中に何かはと、人の心はなほうたて覚ゆれ。 年月経ても、つゆ忘るるにはあらねど、去る者


徒然草38段:名利(みょうり)に使はれて、閑か(しずか)なる暇(いとま)なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。 財多ければ、身を守るにまどし。害を賈ひ(かい)、累(わずらい)を招く媒(なかだち)なり。身の後には、金をして北斗をささふとも、人のためにぞわづらはるべき。愚かなる人の目をよろこばしむる楽しみ、またあぢきなし。大きなる車、肥えたる馬、金玉の飾りも、心あらん人は、うたて、愚かなりとぞ見るべき。金は山に棄て、玉は淵に投ぐ(なぐ)べし。利に惑ふは、すぐれて愚かなる人なり。 埋もれぬ名を長き世に残さ

徒然草38段:名利(みょうり)に使はれて、閑か(しずか)なる暇(いとま)なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。  財多ければ、身を守るにまどし。害を賈ひ(かい)、累(わずらい)を招く媒(なかだち)なり。身の後には、金をして … Read more 徒然草38段:名利(みょうり)に使はれて、閑か(しずか)なる暇(いとま)なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。 財多ければ、身を守るにまどし。害を賈ひ(かい)、累(わずらい)を招く媒(なかだち)なり。身の後には、金をして北斗をささふとも、人のためにぞわづらはるべき。愚かなる人の目をよろこばしむる楽しみ、またあぢきなし。大きなる車、肥えたる馬、金玉の飾りも、心あらん人は、うたて、愚かなりとぞ見るべき。金は山に棄て、玉は淵に投ぐ(なぐ)べし。利に惑ふは、すぐれて愚かなる人なり。 埋もれぬ名を長き世に残さ


ピケティの話で 資産収入はどんどん増えて資産家はどんどん資産を増やすというのだが 実際には相続があるので、分割されてしまう 皇室の相続制度が参考になるようで ある程度集中させることが多いようだ

ピケティの話で資産収入はどんどん増えて資産家はどんどん資産を増やすというのだが実際には相続があるので、分割されてしまう 皇室の相続制度が参考になるようである程度集中させることが多いようだ  


徒然草39段.或人(あるひと)、法然上人(ほうねんしょうにん)に、「念仏の時、睡(ねぶり)にをかされて、行を怠り侍る事、いかがして、この障りを止め侍らん」と申しければ、「目の覚めたらんほど、念仏し給へ」と答へられたりける、いと尊かりけり。 また、「往生は、一定と思へば一定、不定と思えば不定なり」と言はれけり。これも尊し。 また、「疑ひながらも、念仏すれば、往生す」とも言はれけり。これもまた尊し。 ある人が、法然上人に『念仏を唱えている時に、睡魔に襲われてしまい、称名念仏の勤行を怠ってしまうので

徒然草39段.或人(あるひと)、法然上人(ほうねんしょうにん)に、「念仏の時、睡(ねぶり)にをかされて、行を怠り侍る事、いかがして、この障りを止め侍らん」と申しければ、「目の覚めたらんほど、念仏し給へ」と答へられたりける … Read more 徒然草39段.或人(あるひと)、法然上人(ほうねんしょうにん)に、「念仏の時、睡(ねぶり)にをかされて、行を怠り侍る事、いかがして、この障りを止め侍らん」と申しければ、「目の覚めたらんほど、念仏し給へ」と答へられたりける、いと尊かりけり。 また、「往生は、一定と思へば一定、不定と思えば不定なり」と言はれけり。これも尊し。 また、「疑ひながらも、念仏すれば、往生す」とも言はれけり。これもまた尊し。 ある人が、法然上人に『念仏を唱えている時に、睡魔に襲われてしまい、称名念仏の勤行を怠ってしまうので


徒然草43段.春の暮つ(くれつ)かた、のどやかに艶(えん)なる空に、賤しからぬ家の、奥深く、木立もの古りて(ふりて)、庭に散り萎れたる花見過しがたきを、さし入りて見れば、南面の格子皆おろしてさびしげなるに、東に向きて妻戸のよきほどにあきたる、御簾の破れより見れば、かたち清げなる男の、年廿ばかりにて、うちとけたれど、心にくく、のどやかなるさまして、机の上に文をくりひろげて見ゐたり。 いかなる人なりけん、尋ね聞かまほし。 晩春ののどかで風情のある美しい空、身分が低くないことを伺わせる立派な造りの家の奥深

徒然草43段.春の暮つ(くれつ)かた、のどやかに艶(えん)なる空に、賤しからぬ家の、奥深く、木立もの古りて(ふりて)、庭に散り萎れたる花見過しがたきを、さし入りて見れば、南面の格子皆おろしてさびしげなるに、東に向きて妻戸 … Read more 徒然草43段.春の暮つ(くれつ)かた、のどやかに艶(えん)なる空に、賤しからぬ家の、奥深く、木立もの古りて(ふりて)、庭に散り萎れたる花見過しがたきを、さし入りて見れば、南面の格子皆おろしてさびしげなるに、東に向きて妻戸のよきほどにあきたる、御簾の破れより見れば、かたち清げなる男の、年廿ばかりにて、うちとけたれど、心にくく、のどやかなるさまして、机の上に文をくりひろげて見ゐたり。 いかなる人なりけん、尋ね聞かまほし。 晩春ののどかで風情のある美しい空、身分が低くないことを伺わせる立派な造りの家の奥深


徒然草45段:公世(きんよ)の二位のせうとに、良覚僧正(りょうがくそうじょう)と聞えし(きこえし)は、極めて腹あしき人なりけり。 坊の傍(かたわら)に、大きなる榎の木(えのき)のありければ、人、「榎木僧正(えのきのそうじょう)」とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木を伐られにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池僧正」とぞ言ひける。 藤原公世(ふじわらのきんよ)の兄弟に、良覚僧正といわれる人

徒然草45段:公世(きんよ)の二位のせうとに、良覚僧正(りょうがくそうじょう)と聞えし(きこえし)は、極めて腹あしき人なりけり。  坊の傍(かたわら)に、大きなる榎の木(えのき)のありければ、人、「榎木僧正(えのきのそう … Read more 徒然草45段:公世(きんよ)の二位のせうとに、良覚僧正(りょうがくそうじょう)と聞えし(きこえし)は、極めて腹あしき人なりけり。 坊の傍(かたわら)に、大きなる榎の木(えのき)のありければ、人、「榎木僧正(えのきのそうじょう)」とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木を伐られにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池僧正」とぞ言ひける。 藤原公世(ふじわらのきんよ)の兄弟に、良覚僧正といわれる人


徒然草49段部分:老(おい)来りて、始めて道を行ぜんと待つことなかれ。古き墳(つか)、多くはこれ少年の人なり。はからざるに病を受けて、忽ち(たちまち)にこの世を去らんとする時にこそ、始めて、過ぎぬる方の誤れる事は知らるなれ。誤りといふは、他の事にあらず、速かにすべき事を緩くし、緩くすべき事を急ぎて、過ぎにし事の悔しきなり。その時悔ゆとも、かひあらんや。 人は、ただ、無常の、身に迫りぬる事を心にひしとかけて、束の間も忘るまじきなり。さらば、などか、この世の濁りも薄く、仏道を勤むる心もまめやかならざらん。

徒然草49段部分:老(おい)来りて、始めて道を行ぜんと待つことなかれ。古き墳(つか)、多くはこれ少年の人なり。はからざるに病を受けて、忽ち(たちまち)にこの世を去らんとする時にこそ、始めて、過ぎぬる方の誤れる事は知らるな … Read more 徒然草49段部分:老(おい)来りて、始めて道を行ぜんと待つことなかれ。古き墳(つか)、多くはこれ少年の人なり。はからざるに病を受けて、忽ち(たちまち)にこの世を去らんとする時にこそ、始めて、過ぎぬる方の誤れる事は知らるなれ。誤りといふは、他の事にあらず、速かにすべき事を緩くし、緩くすべき事を急ぎて、過ぎにし事の悔しきなり。その時悔ゆとも、かひあらんや。 人は、ただ、無常の、身に迫りぬる事を心にひしとかけて、束の間も忘るまじきなり。さらば、などか、この世の濁りも薄く、仏道を勤むる心もまめやかならざらん。