うつ病および抗うつ薬反応性におけるDNA修復の関与 DNA Repair in Depression and Antidepressant Response うつ病患者のDNA修復酵素活性は正常レベルより高く、活性がもっとも高い患者は抗うつ薬に対する反応性が不良である。 テロメアは染色体末端部にあるDNA-蛋白複合体からなるキャップ構造で、DNAを損傷から保護している。うつ症状がある人やストレスレベルが高い人ではテロメアの短縮が認められる。本論文の著者Wolkowitzらは、セルトラリン治療前と治療8

うつ病および抗うつ薬反応性におけるDNA修復の関与
DNA Repair in Depression and Antidepressant Response
うつ病患者のDNA修復酵素活性は正常レベルより高く、活性がもっとも高い患者は抗うつ薬に対する反応性が不良である。
テロメアは染色体末端部にあるDNA-蛋白複合体からなるキャップ構造で、DNAを損傷から保護している。うつ症状がある人やストレスレベルが高い人ではテロメアの短縮が認められる。本論文の著者Wolkowitzらは、セルトラリン治療前と治療8週後の大うつ病性障害患者20例および健常対照者18例から採取した白血球のテロメラーゼ(テロメア修復酵素)活性を測定した(著者のうち数名はテロメア生物学に関連する金銭的および特許権にかかわる利益相反を報告していた)。
患者群における治療前テロメラーゼ活性は対照群に比べ高く、うつ症状の重症度と正の相関関係にあった。セルトラリン治療を終了した15例の患者において、抗うつ薬にもっとも良好な反応を示したのは、治療前のテロメラーゼ活性がもっとも低く、治療後のテロメラーゼ活性の上昇がもっとも大きい患者であった。
コメント
うつ病の病態生理を調べている研究者は分子・細胞レベルの機序に注目しており、本研究は細胞の生存性に関係する重要な新しい病態生理学的因子を特定した。(しかしながら、)テロメラーゼ活性の上昇が細胞の損傷を修復しようとする代償的な現象なのか、(あるいは、)すでに活性がもっとも高い患者ではうつ病に関連する病態生理が進展していて、抗うつ薬治療でテロメラーゼ活性がさらに上昇してもそれ以上の病態改善が得られないのかどうかは不明である。おそらく、これらの患者におけるうつ病は特定の治療抵抗性サブタイプを構成し、炎症および酸化ストレスが関与している可能性がある。そうであれば、今回の知見は、新規治療の開発への道を拓くかもしれない。
—Peter Roy-Byrne, MD
掲載:Published in Journal Watch Psychiatry February 17, 2012