躁うつ病とシゾフレニーの見逃しの共通点

躁うつ病ではたいていがうつ状態で受診することが分かっている
過去の躁状態が明確にならない限り、現在のうつ状態だけが確実な手がかりなので
躁うつ病の診断は捨てられ、うつ病の診断が下される
そして、いつか、過去の躁状態が明らかになった時、躁うつ病に診断が変更される
(実際には他にも手がかりがあるので、こんなふうではないけれども)

シゾフレニーの場合、陽性症状があれば、診断は比較的容易である
場合によっては、PTSDやその他、その時の流行の診断名が付けられることもあるが
それも間違いではないだろう
現時点では、診断は所詮は、専門家同士の申し合わせ程度のものでしかないからだ

陽性症状のはっきりしないシゾフレニーの場合、
つまり、陰性症状のみが中心のシゾフレニーの場合、
どういう扱いになるかは、微妙な問題になる

何か理由が付けられて「ひきこもり」になったり
また
コミュニケーション障害と名付けられてみたり
また
強迫性症状が前景に出ていたり
また
摂食障害のタイプで問題を抱えていたり

このなかのある部分はシゾフレニーなのだと思うが
これもまた言葉の定義の問題でしかない部分もあり
専門家以外にはあまり興味の持てない問題なのではないだろうか
要するに治りますか、どうすれば治りますかという問題だ
分類学を精密にしても患者さんにもご家族にもあまり興味はないだろう

躁状態があれば躁うつ病は見逃されない
陽性症状があればシゾフレニーは見逃されない
しかしそうでない場合、見逃される可能性がある

特に陰性症状のみで症状が構成されるシゾフレニーについて
どう診断して治療するか、問題がある