第14章 自己敗北型(自滅型)パーソナリティ障害(SdPD)

第14章 自己敗北型(自滅型)パーソナリティ障害(SdPD)
ポイント
・自己敗北型パーソナリティ障害(Self-Defeating Personality Disorder:SdPD)は常にフラストレーションを抱えている。
・彼らは自分の恥と間違いを探す。
・性的マゾヒズムや道徳的マゾヒズムに関係する。
・成功にまつわる罪悪感が自己敗北(挫折)の背景にある
When I was a young boy
Said put away those young boy ways
Now that I'm gettin' older
So much older
I love all those young boy days
With a girl like you
With a girl like you
Lord knows there are things we can do, baby
Just me and you
Come on and make it hurt
Hurt so good
Come on baby, make it hurt so good
Sometimes love don't feel like it should
You make it hurt so good
Don't have to be so exiting
Just tryin' to give myself
A little bit of fun, yeah
You always look so invitin'
You ain't as green as you are young
Hey baby, its you
Come on, girl, now, its you
Sink your teeth right through my bones, baby
Let's see what we can do
Come on and make it hurt
Hurt so good
Come on baby, make it hurt so good
Sometimes love don't feel like it should
You make it hurt so good
I ain't talkin' no big deals
I ain't made no plans myself
I ain't talkin' no high heels
Maybe we could walk around
All day long
Walk around
All day long
Hurt so good
Come on baby, make it hurt so good
Sometimes love don't feel like it should
You make it hurt so good
Hurt so good
Come on baby, now
Come on baby, make it hurt so good
Sometimes love don't feel like it should
You make it hurt so good
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Sometimes love don't feel like it should
You make it hurt so good
———-''Hurts So  Good," John Mellencamp
愛って、思ったほど甘くないね
痛いのがいいね
自己敗北型パーソナリティ障害(SdPD)患者では、スーパーエゴが過剰であり、一方でエゴが縮小している。
結果として、患者は自分を何度も罰せざるをえない。
我々はこれを道徳的マゾヒズムと呼ぶ。DSM-IV-TRには載っていないが精神医学ではよく知られている。性的マゾヒズムはDSMのリストに載っている。SdPDの患者は肉体的自虐行為や性的自虐行為をすることがよくある。
背景には患者の強い罪の感覚がある。
フラストレーションに悩むことは罪の意識を軽くするのに役立つ。
キーポイント
サディスティックな側面は見られるものの、たいていは抑圧されている。
通常、マゾヒスティックな行為とサディスティックな行為の両方の要素が一人の人の中に見られる。
サディズムとマゾヒズムは服従することと屈辱を与えることのスペクトラムの両極端である。
両者とも、傷つける不安や反応性自己愛性憤怒と関係している。
もとSdPD患者が精神療法を受けたら、無意識的罪悪感が過剰にあり、その結果として、自罰の必要性を自覚するに違いない。
またこれらの患者は子供時代に始まる抑圧された攻撃衝動が存在することを認めることが必要である。
症例スケッチ
ロベルタは心理学科の大学院生で人間の行動のいろいろな側面に関心を抱いている。
しかし彼女自身の行動が彼女にとってしばしばミステリーだった。学部学生時代はずっと悪戦苦闘してついに29歳で有名大学の全額補助奨学金を勝ち取った。表面上は幸せに仕事のスタートを切ったかのようだった。しかし彼女は授業に出席できなかったし宿題ができなかった。お気に入りの教授がいて、奨学金の推薦人になってくれた人だった。彼はロベルタのメンターにもなってくれた。彼が説明を求めた。ロベルタは誠実な答えを返すことができなかった。教授も授業も大好きだったが、一学期で3回しか出席できなかった。学期末論文の時期になってロベルタはまた別の問題を引き起こした。彼女の課題は彼女にとって明確だっし、下準備も充分だったのだが、最後の最後のところで提出しなかった。彼女のお気に入りの教授は彼女を仮及第にした。しかしロベルタは驚かなかった。学校生活全体を通じて彼女は同じ問題を何度も繰り返していたのだ。非常に聡明で才能にあふれていたが彼女は過去に2つの学校で退学になっていた。提出物の遅延だけが問題ではなかった。ロベルタは対人関係で挫折していた。同年代の男性と付き合うことをせず、若すぎる人か年を取り過ぎている人と付き合い、そのことで彼女は自分を笑い、周囲の人に笑って下さいなどと言っていた。他人が彼女を嘲りの対象としたときには彼女はそれをネガティブ・アテンションとして楽しんだ。ある日のデートでは彼女は苦痛なセックスをしてそれが気持ちいいことを発見した。もっと洞察を深めようとしてロベルタは大学の健康センターの精神科医に相談した。治療が始まるとロベルタは面接の約束を完全に忘れるか、最後の10分に現れるかした。精神科医は辛抱強くロベルタに、この行動が回避行動であることを説明した。彼女はよく理解してこの知識で武装して、自分の行動パターンを変えて診察に間に合うようになった。彼女は授業にも前よりは出席できるようになった。
ディスカッション
精神科医は、ロベルタの厳しい母親はロベルタが何をしても満足できなかっただろうと指摘した。ロベルタは厳しい母親に対して、厳しいスーパーエゴを形成することで反応した。スーパーエゴは彼女自身に罰を科すことを望んでいる。彼女の罪悪感は彼女を常に自己敗北的にして挫折させた。彼女は授業に出ても、論文を書いても、適切な男性を見つけても、満足感を得ることなく、自己評価を高くすることもなく、いつもフラストレーションを貯めていた。彼女はスーパーエゴをを満足させてエゴを挫折させている。つまり、彼女は道徳的なマゾヒストであった。しかし彼女を治療に導いたのは性的マゾヒズムであった。
DSM-III-Rでは、SdPDはさらに研究が必要な診断分類として提案されていた。議論の末、この分類はDSM-IVからは完全に消された。DSM-5でどのように扱いになるのかは分からない。
キーポイント
SpPDは新しい達成に対して抑うつまたは罪悪感で反応する。
彼らはいつも挫折したがっていることを思い出そう。

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301.89 マゾヒスティック・パーソナリティ障害(提案)
 以下のうち,少なくとも6つによって示される殉教の感情と自己敗北的な行動パターン
(1) 状況を変える機会があるにもかかわらず,他人から食い物にされたり,虐待されたり,つけこんだりされるような人間関係を維持していること
(2) 他人の利益のために,自分の利益をいつもほとんど犠牲にしていると信じている
(3) 他人に負担をかけたくないために,援助,贈り物,行為を拒絶する
(4) 真価を認められていないと,直接的に,または間接的に不平を言う
(5) 不当に感じたり過剰に心配することによって,成功やよい出来事に反応する
(6) 将来について常に悲観的であり,過去や現在の最悪の局面で頭が一杯になっている
(7) 自分の最悪の特徴についてのみ考え,良い特徴は無視する
(8) 自分の目標を追求することをしない
(9) くりかえし喜びの機会を拒絶する