夢遊病とビペリデン

夢遊病にビペリデンは有望?
 青年および成人の夢遊病は重大外傷に結びつく可能性があり治療が必要とされる。クロアチア・University Psychiatric Clinic VrapceのDanilo Hodoba氏らは、青年・成人の夢遊病(てんかんの有無を含む)に対するビペリデンの有効性と安全性に関する臨床観察研究を行った。著者らは、「確信を得ることはできなかったが、必要に応じて使用を考慮する価値はありそうだ」と結論し、さらなる無作為化試験の実施の必要性を提言した。事例に基づき推奨されている治療薬は、ベンゾジアゼピン系薬(鑑別診断として重要である前頭葉の焦点性発作に作用する)、イミプラミン、アミトリプチリンなどがある。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2012年11月12日号の掲載報告。
 研究グループは、抗コリン薬ビペリデンの夢遊病に対する有用性を評価するフォローアップ研究を行った。ビペリデンは、ムスカリンM1型レセプターに高親和性のアセチルコリン拮抗薬である。対象は4例の青年および成人の連続症例で、てんかんの有無にかかわりなく、夢遊病やせん妄を伴う覚醒障害を有し、ジアゼパム、クロナゼパム、アミトリプチリンによる治療には反応を示さなかった症例である。
 主な結果は以下のとおり。
・フォローアップ期間は、中央値4年間(範囲:2~7年)であった。
・ビペリデンの補助的療法により、4例ともに夢遊病エピソードが減少あるいは寛解した。
・一方でビペリデンは、レム睡眠時の行動障害には効果を示さなかった。
・本研究でビペリデンの有効性あるいは安全性を確立できなかったが、必要に応じ夢遊病治療としてビペリデンを考慮することは有用となる可能性がある。
・夢遊病を含む覚醒障害で示唆されているコリン作動性メカニズムは、抗コリン薬ビペリデンが効果をもたらす可能性があるという仮説の根拠となる。今回の予備的研究の知見を確認するために無作為化試験による有効性と安全性のエビデンス検証が必要である。