僕らは笑顔でゴミを7万円で売っていた

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富士通のARROWSシリーズは、2年前、「ARROWS X LTE(F-05D)」という機種から始まりました。
 
当時としては「Xi対応!薄くて軽い!カメラは1300万画素!しかもガラケー機能全部入り!」
という謳い文句で、飛ぶように売れました。
本当に「飛ぶように」でした。
2ヶ月くらいはどの店舗に行っても在庫はなく、
やっと40台仕入れても、翌日には完売するような、恐ろしいほどの売れ行きでした。
 
 
しかしその数ヶ月後に、雲行きは怪しくなってきました。
ARROWS X LTEを片手に持ったお客様が来店され。
「急に動かなくなったんですけど!」
「再起動を繰り返します!」
「フリーズして、全く画面が動かない!」
「本体が熱くなって、ヤケドしそう!」
「さっきまで電池が90%あったのに、一瞬で0になった!」
という、困って、ちょっと怒っているお客様が、後を立たなくなりました。
ほぼ毎日といっていいくらい来店されるお客様をみて、「これはおかしいぞ。」と誰もが思っていました。
案の定、ピークの一ヶ月間はほぼ毎日。それ以降も、数日にひとりはこの機種を持って故障を訴えるお客様の対応を続けました。
その対応とは、センターに送って修理するか、もしくは新品と交換するのですが、それでも
「これで3台目だよ。何回交換してもおんなじ症状。」
という方も多く、われわれ店員にはどうしようもない状況が続きました。
 
 
「僕らは笑顔でゴミを7万円で売っていた。」
 
 
というのは、先日、別の記事でコメントを頂いた”auショップ店長”さんのお言葉です。
僕も全く同じ気持ちです。
ちなみにその方はIS04(Regza Phone)を取り扱っていて思ったそうです。
そしてauショップ店長さんのコメントにはこうも書かれていました。
 
 
「僕らは笑顔でゴミを7万円で売っていたという重罪があると本気で思ってます。 」
 
 
この商品は富士通が作っているから、私たちはわかりません。
私たちは販売が担当ですので、商品の担当ではありませんので。
というのはもっともな言い訳ですが、
本質的には違うんです。
初めてスマートフォンにするため、ドキドキしながらドコモショップや電機屋に来店されたお客様にとって、
その商品は、目の前にいて、話せて、質問できる、”そのひと”から買っているのです。
僕たちは毎日何百人というお客様の対応をしますが、
お客様にとってはほとんど選択肢のない、”そのひと”を信頼する他はないのです。
そんな我々が、「これはうちで作ったものじゃないから」
という態度をとることは、あまりにも失礼で、傲慢な態度です。
実質的にも、お客様が富士通の製造部や企画部にクレームを言うことなどできませんから。
僕も、この「知らずにゴミを売っていた重罪」を引き受ける責任があると思っています。
 
 
しかし来店されたお客様が「これ、ください♪」と言っている商品を
「これは故障が多いから辞めた方が良いです」と言ってしまうと、
お客様は気分が悪いし、会社にも上司にも怒られます。
なのでそれ以降、僕は
「お客様にも上司にも怒られない程度にさりげなくダメ端末を買わさず、よい端末を売る」
という技術が少しずつ向上していきました。
その技術は今ではかなりのレベルになったのですが、
それでも
EXILEを起用したかっこいいCMと、
ドコモが作った綺麗なカタログを見たお客様を止めることはできません。
世の中にもっと正しい情報が必要だと感じ、このブログをはじめました。