インターネットが脳に与える影響について

インターネットのゲームやメッセージのやり取りを自分の意志でやめられないといった、いわゆる「インターネット依存」になっている中学生と高校生は全体の8.1%に上り、国内に51万8千人もいるという厚労省推計が発表された

インターネットが脳に与える影響について、最近の研究を紹介した本に「ネット・バカ、インターネットがわたしたちの脳にしていること」がある。

コンピュータによる情報の氾濫が、我々の感覚を麻痺させ、マルチタスクが我々の注意を散漫にさせ、集中して深い思考をする能力を奪ってゆく

膨大な情報を瞬時の中に手に入れられる代償として、我々の思考は浅くなり、たとえば、マルチタスクの刺激に慣れた脳は、ネットよりもペースの遅い現実社会に適応できなくなる危険性を生じさせる 即ち、出したメールにすぐに返信がこないとイライラする、あるいは、短時間で答えが出ないと思考を停止してしまう、といった影響が考えられる

情報の過多が我々の学習能力を相当量減じる

たとえば、ニュージーランドの政治学者フリンは、30年ほど前、世界のほとんどの地域でIQテストのスコアが20世紀を通じて、上昇していることを発見した(フリン効果)が、これはフリン自身が指摘するように、我々が祖先よりも賢くなっていることを意味するものではなく、社会の変容により、我々の思考が抽象思考中心になったことにあるようだ。

実際、サイエンスに発表されたUCLAの心理学者の研究によるとIQスコアの上昇は主に視覚テストで測定される非言語的IQの成績に集中しており、フリン効果は都会化などの社会的要因によるものだとしている。

その一方、ウェブ利用の上昇が、我々のIQを低下させることを窺わせる現象(スカンジナビア諸国やイギリスのIQ低下)も見つかっているし、アメリカの高校2年生の受けるPSATテストの成績の特に言語能力に関する得点の急降下(特に作文部門)、大学進学者を予定する学生が受けるSATテストにおける言語セクションの得点,特に文章読解力の得点の急降下のようにむしろ知能の低下を窺わせる現象も観察されているのである。

大学生の学力低下については、大きな要因として少子化による大学入学のハードルの低下が指摘されている。これについては全くそのとおりであり、学力の低下のかなりの部分は少子化で説明できる。

インターネットは我々に瞬時に膨大な量の情報を手に入れることを可能にしたが、その一方で、我々の集中力や思考の深さに影響を与えていることは、どうやら確かなようだ。

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一種の適応なんでしょう。深く考えてもいいこともないし、時間がもったいない。やりたいことはたくさんあるのだから、ということだろう。

深く考えることが好きな人達はずっと昔から現在も存在していて、否応なしに深く考えるから、それは問題無いと思うが、
大多数の人は、ネットで答えを探して、それを貼り付けている、
思考の局面でも同じ操作をしているのだと認識しないといけない。

そのような人たちには思考とか応用力とかを要求しても無駄というもので、指導する側の技法も変化せざるをえないだろう