米国債を売却したのは中国である可能性が高いと思います。

こんな意見もあり。やや極端と思うが。採録。
米国債を売ったのはロシアではなく中国だという意見。

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今週は少し買い戻されたようですが、前週、外国中銀の保有する米国債が1045億ドル減少しました。
市場ではもっぱらロシアが売却したという噂が流れていました。アメリカの経済制裁による無効化に備えるためにアメリカ国外に移したとか、あるいは経済背制裁への報復のために売却したというものです。
しかし、米国債を売却したのは中国である可能性が高いと思います。人民元の変動幅拡大のタイミングと一致しているからです。
人民元の変動幅拡大は為替介入のドル買いの回数が減ることを意味します。
中国は輸出から内需に経済モデルをシフトさせようとしているので今後は経常黒字が減少していく傾向にあります。そのため、中国による米国債は今後減少していくことは避けられません。
もちろん、日本も貯蓄率が低下して、自国のファイナンスをすることができなくなりつつあり、さらに経常赤字に陥るので米国債を買う余裕はありません。
中国は、大量のドル外貨準備高を運用するための流動性の高い市場を必要としているため、米国債は売れないとされてきました。中国人民銀行の副総裁も、金市場の流動性では米国債の市場の代替にはならないと過去に発言しています。
中国が米国債を売却すれば、国債のファイナンスの半分を海外に依存するアメリカは終わります。
しかし、中国からみると、米国債を売却してその価格が暴落すればコツコツ、貯めてきた外貨準備で大損失を被ることになります。
アメリカは大統領令で中国が保有する米国債を無効化できるから、中国は米国債を売れないとかいう右翼系の人のイデオロギーに歪んだ希望的観測の意見もあります。しかし、これは事実上の米国債のデフォルトです。しかも、ただのデフォルトより酷いのは、米国債が暴落するだけでなく、今後一切アメリカは他国からのファイナンスができなくなることになることです。アメリカに敵対すれば無効になる国債など危険で買うことはできません。
サマーズは、これを一方が核兵器を使えば最終的に双方が必ず破滅するという相互確証破壊になぞらえています。
しかし、人民元の国際化が進むなかで、じょじょに中国にとっては損よりも利益が上回る状況になってきていると思います。中国が米国債を大量に売却し米ドルを暴落させ、人民元が国際的な準備通貨にとってかわることができれば、基軸通貨特権のシニョレッジを得ることができます。そうなれば、外貨準備の損失を補っても余りあるお釣りがきます。
米国債を少しずつ市場で売却して、米国債の金利を上昇させていけば、ドルキャリートレードの巻き戻しが起こり、新興国やフロンティア国からマネーが流出します。新興国は資金繰りに困り、通貨防衛に追われます。ここで中国が、フロンティア国への融資を増やし、スワップ契約を結んでいけば、人民元の国際化を加速することができます。
この戦略はアフリカで成功しています。
資本主義最後のフロンティア市場はアフリカです。このアフリカでの資本市場で中国は圧倒的なシェアを得つつあります。アメリカや日本はアフリカで大きく遅れています。アフリカでは人民元を外貨準備にする国が増加しています。
アフリカは、マンデルのいう最適通貨圏です。ここで人民元を統一通貨とすることに成功すれば、次の資本主義のステージを制覇できます。
WSJの元記者であるジュード・ワニスキ(WSJ出身だがリベラル)は、フォーブスで次のように述べています。
『人民元が国際的な準備通貨になるまで、中国は自らの経済を損なうことなく米国債を手放すことはできない。その過程が閾値にまで達するには時間がかかる。しかし、ここに米国の金融政策の失敗が相まったとすると、ドルの衰退はほとんど確実だ。国際社会だけでなく米国自身も購買力が低下した法定紙幣を保有するメリットに疑問をもつようになるためだ。中国が金本位制を受け入れたら、ゲームオーバーだ』
So What If China Has $1.32 Trillion In U.S. Treasuries? It Still Can't Crash America's Economy
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200A_S4A120C1000000/
アフリカ市場へのアクセスはインドも地理的に有利です。
またロシアがグルジアやシリアやクリミアでのプレゼンスを高め、外洋に進出するシーレーンを確保しているのもアフリカ市場への足がかりのためというのが大きいと思います。
プーチンは先日の演説で中国国民への感謝をのべました。中国とロシアの関係は今回のウクライナ危機で更に強固となったものと思われます。今後、米国債を売却してドルに攻撃するときは協調すると思われます。中国がロシアから格安にエネルギーを購入できることを条件としてドルを攻撃して原油の国際価格を釣り上げてロシアをアシストすることもできると思います。ロシアの財政均衡点は原油価格100ドル以上といわれています。ウクライナのテロを支援して民主的に選ばれた政権を転覆させたユダヤ金融資本の広告塔であるジョージ・ソロスはロシアへの経済制裁のためは戦略備蓄を放出して原油価格を下落させればいいと発言していましたが、中国がいるかぎりそうはいかないと思われます。
さらにロシアはトルコに接近したいのですが、シリア問題もあり、最近では少し関係が悪化しるように思えます。トルコは本音ではEUに接近したいのですが、ハンティントンの指摘するように異なった文明同士はなかなか難しいようです。
そこで、トルコはおなじイスラム教徒であるイランとの関係を強化しています。ロシアとイランの関係は強固ですので、イランを通じてトルコとロシアと再び関係が強化されていくと思います。
インドとアメリカは、外交官の問題もあり関係が悪化していますが、次期首相候補のナレンドラ・モディがアメリカと距離を置いていることもあり、ロシアや中国との関係を強めていくと思います。
ユーラシア連合+アフリカが次の経済の中心になると思います。
EUは、現在はユダヤ金融の影響が強いですが、結局、経済的な利害でロシアや中国に接近していくことになると思います。
日本も安倍政権で大失敗することで次はその反動で左翼政権が誕生するはずです。現在の自民党の政治判断のほぼすべてで間違っていますが、これは日本再生のための創造的破壊とポジティブにとらえることができます。結局、韓国同様、アメリカと決別して中国に接近することになると思います。
イギリス
とアメリカが世界で孤立して今後10年で急激に国力が衰えてくと予想します。