不眠症におけるシンプル処方:不眠症治療におけるシンプル処方のために, その前提として睡眠薬多剤使用を避ける注意点を解説した. 不眠症の病態について述べ, 多剤併用の原因となりうる不適切な睡眠習慣による治療抵抗性不眠, 鑑別診断が不十分なために起こる治療抵抗性不眠として, 睡眠時無呼吸症候群, レストレスレッグス症候群などについて解説した. さらに, 2剤以上併用する場合の注意点, 実際的な睡眠薬の減量および離脱法についてまとめた. 「はじめに」 一般人口を対象とした疫学調査から, 日本においておよそ5人に

不眠症におけるシンプル処方:不眠症治療におけるシンプル処方のために, その前提として睡眠薬多剤使用を避ける注意点を解説した. 不眠症の病態について述べ, 多剤併用の原因となりうる不適切な睡眠習慣による治療抵抗性不眠, 鑑別診断が不十分なために起こる治療抵抗性不眠として, 睡眠時無呼吸症候群, レストレスレッグス症候群などについて解説した. さらに, 2剤以上併用する場合の注意点, 実際的な睡眠薬の減量および離脱法についてまとめた. 「はじめに」 一般人口を対象とした疫学調査から, 日本においておよそ5人に1人は不眠の訴えを持ち1), 20人に1人が睡眠薬を使用している2)ことが明らかになっている. 高齢者や身体疾患を持った患者においては不眠の頻度がより高く, 睡眠薬使用も多いことが指摘されている3). こうした中で, 睡眠薬の睡眠薬の多剤使用, 長期使用についての問題意識が高まり, 厚生労働科学研究の研究班と日本睡眠学会による2013年「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン-出口を見据えた不眠医療マニュアル」4)が公開されている.