春と一体化

餌のない冬を生き延びて
春になると生き物は皆、生殖の季節に移行する
生殖のためのホルモンを大量に分泌する

精神的に言えば
少しのことにも感じやすくなり
対象との一体化を目指すようになる
これは異性もそうであるが、一般にものともこととも一体化を志向する

そんな時期に桜が咲いて、桜に毎年感激する

この時期は別れの季節でもあり、出会いの季節でもあり、
終わりの季節で始まりの季節である
ここでは一体化の興奮がピークに達しているものだから
別れるといっては涙し、出会うといっては感激する

全ては冬が終わり性ホルモンが放出されていることが基盤にあるだろう

一体化の動きの中で、それが失敗に終わり、
躁うつ病は顕在化するし
統合失調症は発症に至る

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昔はアイデンティティという言葉でいろいろと説明されたものだ
アイデンティティの確立が問題ですねと言ったりした

アイデンティティを確立するとは
一体化の対象を見つけ、一体化すること、または、一体化したと思い込むことである

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一体化しようとするとき
対象との距離をゼロにしたくなる

あるいは対象と支配・服従の関係になりたくなることもあり
対象が大きいものならば自分はその部分になりたくなることもある

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アイデンティティほ与えることが商売である人もいる

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桜の花が人を狂わせるのではなく
食料が少なく生殖に不適切な時期が終わって、生殖の時期が始まるから、
人の心は一体感を求めて動き出す

時に成功もするが、一方では失敗もするし、葛藤状態のままで苦しむ事にもなる
その場合に躁病、うつ病、統合失調症など、代表的な病気が出揃うことになる