水虫

■足の洗い方 
足の指の間をゴシゴシ洗うと、皮膚が傷付いてしまいます。 
白癬菌は通常、湿度が高くて24時間以上付着しないと感染しません。 
しかし、皮膚が傷付いていると、約12時間で感染してしまいます。 
お風呂で足を洗う時は、石鹸をつけた手で優しく洗うようにしましょう。 
たったこれだけで、白癬菌は落ちて、皮膚も傷つけません。 
実際の研究では、足をよく洗う人の方が水虫になりやすい、という結果も出ています。
コラージュフルフル
http://karadanokabi.jp/kabi/index.html#awa
白癬症も、その本体が皮膚の傷であるとの意見
 白癬菌の主な栄養源であるケラチンは、上皮細胞(皮膚と消化管上皮)の中間径フィラメントを構成するタンパク質で、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の上皮に存在する。表皮細胞は内部にケラチンを蓄積してやがて死滅し、死んだ表皮細胞(=ケラチンを豊富に含む)が皮膚表面の角質を形成するわけだ。
 角質は「死んだ表皮細胞の蓄積」である以上、水分が乏しいのは当然といえる。だから角質は乾燥している。もちろん、角質と表皮の境目あたりまで行けば水分は多くなるが、逆に酸素は乏しくなっていく。「ケラチンを主な栄養源とする好気性生物」は必ず、このジレンマにぶつかるような気がする。つまり、「ケラチン、酸素、水が豊富にある白癬菌のエデンの園」は正常皮膚には存在しないことになる。
 逆に言えば、このような「解決不能のジレンマ」がある過酷な環境だからこそ、競合相手が少ないだろうし、白癬菌はあえてこのようなニッチで過酷な環境を選んだという可能性もあるのだ。
 このように考えていくと、水虫発症の発端は皮膚での白癬菌の増加か、皮膚に傷ができることか、という問題があることに気がつく。別の言い方をすれば、「傷のない皮膚で白癬菌は増殖できるのか?」という問題だ。
 前述のように、傷のない健常な角質は白癬菌にとってはベストの環境ではないし、むしろ生きやすい環境ではないはずだ。
 しかし、角傷に傷ができると状況は一変する。水分(=浸出液)は得られるし、創面は空中に露出するため酸素もある。しかも傷口には豊富なケラチンが露出している。つまり、「角質の傷=白癬菌のエデンの園」ではないだろうか。
 では、白癬菌の増殖が先か、皮膚の傷が先かと、どちらだろうか。多分、答えは後者だろう。角質の傷さえあれば白癬菌は容易に増殖できるが、角質に傷がなければ増殖しにくいからできないからだ。しつこいようだが、もしも角質が白癬菌にとってベストの環境なら、白癬菌が皮膚常在菌の優勢種になっているはずだからだ。
 となると、白癬菌発症の「原因」は白癬菌の有無ではなく、角質の傷の有無ではないだろうか。つまり、「原因と結果」で言えば、「角質の傷」が原因、「水虫発症」は結果であり、その逆はあり得ないはずだ。つまり、まず最初に「皮膚の傷(=エデンの園)」が生じ、その「エデンの園」で白癬菌が活発に増殖し、その後「水虫」が発症する、というシナリオしか考えられないのである。
 別の言い方をすると、皮膚に傷ができるという「環境の変化」がまず起こり、その変化して生じた環境でもっとも活発に増殖できる生命体が生き残る、となる。つまり、生命体(=この場合は白癬菌)は環境(=皮膚の物理的、化学的環境)が選ぶのだ。環境が変化したから生態系が変化し、従来とは違う生物が優勢種となっただけのことだ。
 これが私の考える「白癬菌仮説」である。
 「白癬菌仮説」が正しいとすれば,足白癬(=水虫)の治療はどうなるだろうか。別の言い方をすれば「治療のターゲットは生物(=白癬菌)か,環境の変化(=角質の傷)か」である。もちろん私の考えでは「治療のターゲットは生物ではなく環境の変化」だ。環境が変化して優勢になった生物を全滅したとしても,環境が元に戻っていなければ「変化した環境のもっとも適応した生物」がいずれまた侵入して増殖するからだ。
 これは「草原が砂漠に変化し,サボテンしか生えなくなった」という状況を考えるとわかりやすい。もちろん,草原は傷のない皮膚,砂漠は傷ついた皮膚,サボテンが白癬菌である。この場合,「砂漠になってサボテンしか生えなくなった。サボテンを引っこ抜けば砂漠は草原に戻る」ということはない。砂漠化の原因はサボテンでなく,砂漠化の結果がサボテンだからだ。だから,砂漠でサボテンを引っこ抜いたとしても砂漠は砂漠のままで,元の草原に戻ることはあり得ないのである。そして,いくらサボテンを引っこ抜いたとしても,砂漠はサボテンしか生えられない環境だから,いずれまたサボテンが生えてくる。
 逆に,砂漠化した土地の状態や気候を元に戻せば,砂漠は自然に草原に戻り,草原に適応できないサボテンは自然に枯れてしまう。
 話を「水虫」に戻すと,私の推論が正しいとすれば,水虫治療のターゲットは「皮膚の傷」であって「白癬菌」ではないことになる。つまり,抗真菌剤の投与は根本的治療ではないような気がする。
 「角質の傷ができて,傷表面で白癬菌が異常増殖することで水虫が発症する」が正しいとして,この状態で抗真菌剤を投与したとしよう。もちろん,抗真菌剤に反応して白癬菌は死滅するかもしれない。しかし,「角質の傷」はそのままだから,いずれ時間がたてば白癬菌が傷表面に進出してコロニーを作り,水虫が再発するはずだ。これは「砂漠にサボテンしか生えていないので,サボテンを引っこ抜いたが,砂漠はそのままなのでまたサボテンが生えてきた」というのと同じだ。サボテンに生えてほしくなければ,砂漠を砂漠でなくすしかないのである。
 すなわち,白癬菌に増殖してほしくなければ,角質の傷をまず治して「白癬菌が生きられない環境」にするのが早道ではないかと思う。角質の傷はそのままで白癬菌だけは生えてほしくない,というのは無茶な願望なのである。白癬菌には白癬菌の都合があり,白癬菌は人間の都合なんて知ったこっちゃないのである。このあたりの「白癬菌の都合」を無視して「人間の都合優先の治療」をしても,治療は奏功しないような気がする(あくまでも,私の理論が正しいと仮定して・・・という話だが)。
 では,具体的な治療をどうするか
だが,次のような方法が考えられる。本来なら自分で治療を試してみられればいいのだが,残念なことに私の外来を白癬症の患者さんが受診されることはほとんどないため,どの方法が最も効果的かについては現時点では不明である。
1)ガーゼにプラスモイストTOPを貼付してそれで患部を覆う。
2)プラスモイストで患部を覆う。
3)白色ワセリンを塗布する。
4)油脂性基剤の抗真菌剤軟膏を塗布する。
 常識的には 4)だろう。だが,本当に抗真菌剤が含まれていることが必要かという疑問は残る。
 個人的に最も効果があるのではないかと密かに考えているのは 1)である。「創面を乾燥させず,しかも湿潤になりすぎない」という絶妙な状態を作れそうだからだ。これを指間部に挟み込んで覆ったら治るんじゃないかなと思っている。