「暗闇を呪うよりも、ろうそくに火をつける」 宇宙物理学者のカール・セーガン氏は、著書『悪霊にさいなまれる世界–「知の闇を照らす灯」としての科学』(早川書房)で、「『トンデモ話』を見破る技術」という章を立て、科学を身にまとった偽科学を検証する方法を示している。さまざまな場で使えそうな考えなので紹介してみたい。 日本にはトンデモ科学批判本は多いが、他人への攻撃、嘲笑が先に来て、品のないものが多く、私は好きではない。(私もこのコラムでそれに陥っているかもしれないが。)セーガン氏は科学に反する行動を批判しつ

採録 
 
「暗闇を呪うよりも、ろうそくに火をつける」
宇宙物理学者のカール・セーガン氏は、著書『悪霊にさいなまれる世界–「知の闇を照らす灯」としての科学』(早川書房)で、「『トンデモ話』を見破る技術」という章を立て、科学を身にまとった偽科学を検証する方法を示している。さまざまな場で使えそうな考えなので紹介してみたい。
日本にはトンデモ科学批判本は多いが、他人への攻撃、嘲笑が先に来て、品のないものが多く、私は好きではない。(私もこのコラムでそれに陥っているかもしれないが。)セーガン氏は科学に反する行動を批判しつつも、それが普遍的なものであることを指摘し、そこに陥った人にも温かい眼差しを向けている。一読すべき本だ。
詳細は本を確認してほしいが、いくつかの技術でポイントとなるものを示してみる。
1・裏付けを取れ、議論のまな板にのせろ
できるだけ多くの根拠、論証を調べる。
2・仮説は複数立てろ
それを反証していくことで、正しい答えに導かれやすくなる。
3・自説への身びいきをするな
なぜそのアイデアが好きなのか自問し、他のアイデアと比較する。できる限り、判断で感情を遠ざける
4・定量化しろ
尺度をつくり、数値を出すことで、仮説の中でましなものが残る。
5・反証可能性を問う
反証(科学的検証)か可能かどうかを問う。つまり妄想などが根拠にならず、科学の土俵で議論できる対象かを考える。実験・検証の重要性をセーガン氏は強調する。
これらを貫くのは、科学的な考え方だ。セーガン氏は科学を「人間の持つ方法論の中で、絶対ではないにしても最良の持ち駒かもしれない」と語る。なぜならそこには「人は誤りを犯すもの」という前提が組み込まれ、多くの人によって検証されるからという。健全な懐疑主義の中にある「問い続ける」という営みが、誤りを是正していく。科学をセーガン氏は「闇のなかの灯(ともしび)」と形容した。