再生医療村とSTAP細胞騒ぎ

2014-3-25現在、STAP細胞騒ぎは
若山氏が所蔵の細胞を提出して本物のSTAP細胞か調べてもらう
丹羽氏が再度実験に挑み再現できるか検証する
Natureの論文は訂正する気分ではなく取り下げしたい気分らしい
結構問題視されているバカンティ氏は23日で以下のようだ

ーーー朝日新聞2014年03月23日 から引用
新しい万能細胞「STAP細胞」の論文は、主要著者のうち米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授だけが撤回に反対している。弟と15年前に研究に着手していて、「アイデアを生んだのは自分」との自負がある。STAP細胞について独自の作製方法を公表、強気な姿勢を崩していない。
2月に論文データに疑惑が見つかって以降、バカンティ教授は公の場に姿を現さず、日本メディアの取材にも応じていない。
同教授が論文発表前に共著者らに送った手紙では、「私とマーティンが15年前、他に例のない変わった細胞を発見した。当時から万能性を持っているという確信はあった」と述べている。ハーバード大の地元で発刊される米紙ボストン・グローブによれば、事故やけがで下半身まひになる脊髄(せきずい)損傷の治療に使える新しい細胞を探していたという。
この論文は2001年に発表。極端な低酸素状態でも生き延びる「胞子のような細胞」があり、「病気や事故で失った組織を再生させる潜在性を持っている」と報告した。当時所属していた大学に異端視されたことなどから、ハーバード大に移ったという。08年に渡米した小保方さんに今回の研究テーマを与えたのもバカンティ教授だ。
直接の取材には応じない一方で、病院を通し「データが誤りである証拠がない以上、撤回すべきだとは考えない」(3月14日)との声明を発表。強気の姿勢を見せつつ、日本の共著者らとは距離を置きつつある。今月5日に理研がSTAP細胞の詳しい作製方法を発表すると、バカンティ教授らは「細いガラス管に通すことが極めて重要」などとする独自の方法をウェブサイトで公表した。
10日に主要著者の一人、山梨大の若山照彦教授が論文撤回を提案した際も、米紙ウォールストリート・ジャーナルに「重要な論文が同僚研究者の圧力で撤回されたとなればとても残念なこと」とコメントした。
バカンティ教授のグループは、すでにサルの脊髄損傷でSTAP細胞の移植実験を進め、臨床試験も準備中と言われる。米国のある再生医療の研究者は「今回の論文を取り下げればこの15年間の研究の信頼を失いかねないという危機感があるのではないか」と語る。
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生物の再生については、植物ではよく知られたことで、
http://www.nibb.ac.jp/evodevo/Images/OpenHouse/TamadaOpenHouse.pdf
苔の葉を切ると、その先端の細胞は幹細胞に初期化され、そこから植物の全体が再生される。

また、葉っぱを地面に挿しておくと、植物全体が再生するものもある
ハーブのたぐいは再生能力が高い
挿し木のような技術でも、哺乳類で出来たらすごい(マウスの背中に人間の耳でしょう)

こうしたことを見ていると、動物でも、特に高等な哺乳類でも、切断するとか低栄養化とか、
かなり単純な生命の危機において、分化細胞が幹細胞に初期化される現象が、
極めて低い確率かも知れないが見られる可能性はあるのではないかと、夢想されてきた

しかし哺乳類くらいになると、がん細胞やイボのようなもの、あるいは爬虫類だけどトカゲのしっぽとか、ネズミの歯とか、
どんどん増殖するものでも、幹細胞になる現象は見つかっていないと思う

たとえばトカゲの尻尾が切られたあとで伸びるときに、うっかりして、尻尾の先に、もう一つトカゲが出来たとか
そんなことはないでしょう

プラナリアとかは、半分に切られるとまるごと再生したりする

イメージで言うと、幹細胞というのは、各種体細胞になるためのフルセットのDNAを持っている
細胞分裂して、たとえば、外胚葉性細胞、神経細胞、少脳細胞などと分化していくに連れて、
持っていたDNAセットの中の、一部分を無効化する、あるいはマスクする、あるいは切り取る、あるいは有効部分を指定する、などの方法で、少脳細胞にしかならないようになっている
あるいは肝臓細胞は細胞分裂しても肝臓細胞にしかならないような仕組みがある
かなり複雑な生物の複雑なDNAセットでは簡単に分化細胞から幹細胞になることはない

これは植物と哺乳類の大きな違いで、ここを突破できれば、再生医療における大きな前進である

これをiPS細胞では4つの遺伝子を組み込むことで分化した体細胞を幹細胞に戻すことに成功した
全くありえないような話だ

iPSで成功したなら、何かの驚くような方法で分化細胞を幹細胞にできるのではないかと
いろんな人がいろんな実験をしているらしい

バカンティという人は極めて執拗にこの系統のことを追いかけているらしい
長くやっていると予算も取れなくなるので必死だ

iPS細胞について4つの遺伝子がどのようにはたらいて幹細胞の性質を取り戻すのか
まだ不思議だらけだと思うが
分化した細胞ではこれら4つの遺伝子の発現が妨げられていて、それを外部から新しく入れてやると幹細胞になる
様々な転写因子やエピジェネティック機構により、発現が抑制されているとされているのであるが
とりあえず4つ入れると幹細胞になる
しかしたとえば寿命を決めていると言われるテロメアなどはどのようにしてリセットされるのかよく分からない

大方の考え方としては、分化した細胞も、もとの幹細胞と同じだけのDNAセットは内蔵していて、
その一部が発現を抑制されているために、少脳細胞や肝臓細胞といった特定の細胞になるらしい
(個人的には納得できていないが)昔のデータは捨てずに全部持っていますということだ

そうであれば、発現抑制している因子を取り除く方法があればいいわけで、
STAP細胞の場合は、酸性溶液とかピベットを通過する際の物理的力とか言われている

(しかし細胞分裂の際に転写間違いなどで幹細胞に返ったり、分化の途中の細胞に返ったり、
つまり、少脳細胞がより一般的な神経細胞になったりしていては能率が悪いので、
捨てるものはさっさと捨てているのではないかと思うが、結論としてはそうではないらしい)

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というようなわけで、どの細胞もフルセットのDNAを持っているなら
「ひょっとしたら哺乳類でも
幹細胞が、注意深く探せばそこいらにあるのではないか」と
学者は探しまわっている

今回のSTAP細胞の件は、雑誌Natureのルールに則り、執筆された
雑誌側は性善説で査読するわけだから、出来たといえば出来たと思うだろうし、これがその写真だといえばそう思うだろう
論理に破綻がなければ、信じるだけだ
しかしあくまでもNatureのルールを通っただけで、現象の確認ができたわけではない
追試はこれからなのだが、現状では誰も成功していない
しかし誰も厳密に実験を再現していない

ここから先は、私達は本当は出来た、他の人は下手くそだからできない、条件を守らないから出来ない、
若山氏に渡した細胞はどこかで変化したかもしれない、
丹羽氏はコツをつかんでいない、などなど

ずっと昔はこんな時は、反証可能性を示すことが科学的命題としては大切と言われたものだ
つまり、これこれの操作でSTAP細胞を作り、命題Aが真ならば、仮説は反証されるというような
検証可能な命題を提出できなければ科学的命題とはいえないとポパーが言った

再現実験が成功すれば一番良いが
それが出来ないなら反証可能性を示し、反証実験を却下する

だって私にはSTAP出来たもんとか
私は確かにUFOを見たとか
死んだ人の霊魂が私に何かを教えてくれたとか
天使は針の上に3人まで乗れるとか
私はショパンの生まれ変わりだとか
それが意味のある科学的命題というならば反証実験を提示し実行できるようにしろというわけだ
いつまでも言い訳していても進歩しないでしょうということ

STAPの場合、反証実験も難しいと思う
絶対にありえないというデータを示すことは難しいでしょう
追試験に成功しないとしても、いつまでもいいわけはできる

で、言い訳をしているうちに、結局まだ理研以外誰も出来ないじゃん、どうなっているんだ、
わけがわからん、何が真実なんだ、
というレベルでぐだぐだになりウヤムヤになる予定だったのだろう
それが再生医療村のルールだからだ

そのルールに則って仕事をしただけなのに、今回はマスコミが騒ぎ、ネットで色々な情報が掘り起こされ、
心証としてはかなり理研に不利な様相となったところで、
理研管理職は、怪しいし論文取り下げしてもいいよね、研究者として未熟とかまで言い出して、
そんな未熟な人にそんな怪しいことをやらせた責任は誰にあるのだろうと言い返される騒ぎである
再生医療村では世間のルールとは違うルールが打ち立てられているのだから
やはり波長が合わない

写真が違うとか文章が剽窃だとかマスコミ的視点で貶められた
それは些細な手違い、だってできたんだもんと言うのだが、それならば確かな証拠を出せと言われ
Natureのルールで確かな証拠なんだよと言っても聞き入れられず
捏造だという証拠はあるのかと居直っていると叩かれ
騒いでいるうちに若山氏が疑わしいなどという意見表明をして
マスコミはマスコミで、理研は理研で、それそれの理由でびっくり

論文の些細な手違いについては修正をする、他施設での追試の成功には最低でも一年、
あるいは数年を要するだろう、学問とはそういうものであると一番偉い人が言うのが村の掟だと
村人は思っていたはずだろう

このような場合組織としては推定無罪の原則から出発しないとのちのち裁判とかで困るので
法律家みたいなことを言うだけになるはず
しかし現実には管理者としては少しだけれども言いすぎている感じはある
管理職は、マスコミの圧力に抵抗して、あくまでも、推定無罪、を押し通さないといけない
村のルール、Natureのルールを押し通すことが村長の仕事である

話が噛み合っていないのだけれども
結局予算はどうなるのかとか研究所の新組織はどうなるのかとか
そういった世間のことととリンクしてしまうと再生医療村のルールだけで難しい言葉を散りばめて押し切るわけにも
行かなくなっている様子だ

マスコミがにわか勉強をして理研をへこませるなんて出来ないわけだし
また理研としてもできるならやってみせろという正直な意見に対しては無力なわけで、
それはルールはそうなっていないと言いはることになる
このぐだくだな状況を見越しての論文だろう

Natureはここでやってみせろとは言わないのに
世間はここでやってみせろと言う
ルールの違いにお互いに驚いているのだろう

ーーー
というようなわけで
「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している」という
Nature査読者のコメントを、これもルール違反だと思うが、わざわざ言ってしまったのは
無意識の力というものなのだろう
失言は常に真実を語る

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