サバイバーと呼ばれる人々は概して怒っています。当然の事でしょうが、 ●親への怒りがあらわで、その事をしきりに口にします。 ●他人への不信感が強い。 ●治療者に対しても怒りや不信をぶつけやすいので、扱いやすい人々ではありません。 この怒りは自分自身にも向けられていますから、自己懲罰的で、自殺や自傷と結びつきやすい、といった人々です。 ●自己不信と著しく低い自己評価も特徴のひとつとしてよいでしょう。サバイバーとしての自己に気付くまでは、この低い自己評価が、他人への過度は迎合、従順さ、そして仕事依存的な完璧主義

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生き残った人、サバイバー
 この人達には、いくつかの特徴があって、ひとつは心身の不調です。
心の障害としては、
●抑うつ
●無気力
●自殺願望
●自傷行為の繰り返しなど衝動コントロールがうまくいかない
●過食
●ギャンブルなどを含む嗜癖
●それに対人恐怖などがあります。
身体の不調としては、
●呼吸器系、消化器系の障害
●生理通や不正出血
●性交疼痛などの生殖系の障害
●月経前緊張症
●慢性の頭痛
●思春期・青年期にまで続くアトピー性皮膚炎や喘息などの頻度が高く、
●パニック発作と呼ばれるような、呼吸不全や心拍増加、あるいは呼吸不全を伴う恐慌状態を貧階に起こす人もいます。
 サバイバーと呼ばれる人々は概して怒っています。当然の事でしょうが、
●親への怒りがあらわで、その事をしきりに口にします。
●他人への不信感が強い。
●治療者に対しても怒りや不信をぶつけやすいので、扱いやすい人々ではありません。
この怒りは自分自身にも向けられていますから、自己懲罰的で、自殺や自傷と結びつきやすい、といった人々です。
●自己不信と著しく低い自己評価も特徴のひとつとしてよいでしょう。サバイバーとしての自己に気付くまでは、この低い自己評価が、他人への過度は迎合、従順さ、そして仕事依存的な完璧主義になっていたのです。
 親を憎んでいるくせに、親と良く似た行動をとってしまうことも特徴のひとつです。
●子どもを持てば親と同じように虐待する親を演じてしまう。
●力への渇望の強い、マッチョな男になったり、やたらに暴力で他人を支配しようとしたり、
●そのような男に仕える従順な女性をやっていたりします。
 大人としての行動の中に、子ども時代の自分が顔を出してしまうのもこの人々の特徴です。サバイバーは情緒的な発達に停滞を起こしていますから、かつてのトラウマ状況に良く似た状況に遭遇すると、いっぺんに子ども返りしてしまう。→男の怒鳴り声、ドアのしまる大きな音、ガラスの割れる音など、暴力を匂わせる各種の音が、そのきっかけになったりします。がたがた震えだしたり、逆にニコニコと不自然な笑い顔が出てきたりします。アダルト・チルドレン(AC)という言葉はこうした特徴を捉えたものです。
 この言葉の作り手、ジャネット・ウォイティッツは「ACは55歳になっても、5歳の時と同じです。5歳の時の情緒と行動が55歳になっても突然顔を出す事に気付いて、私はこの言葉を作ったのです」と言っています。非現実的な完璧を求めたり、すぐに被害妄想のとりこになったりするのも、彼らが時々子ども返りするということを念頭に置けば理解できます。子どもは非現実的なパワーの幻想に包まれ、それが壊れそうな時には被害妄想を抱きやすいものなのですから。
このことを一種の「時間感覚の障害」と考えても良いでしょう。時間感覚の障害はサバイバーの生き方のほうぼうに顔を出しています。彼らは一週間なら一週間と言う単位時間の把握が、健康な人と違っているようなのです。
●何もしないうちに過ぎてしまったように短く感じ、まるで浦島太郎のように「たちまちおじいさん」といった感覚に襲われやすい人達です。
●逆に、退屈で空虚な時間の群れに押し潰されるように感じることもあります。
●現在の苦痛が一生続くかのように考えて絶望してしまう人達ともいえます。
●ずっと昔の心的外傷の記憶がいつまでも生々しくよみがえるという減少も時間間隔の障害といえるでしょう。
こうした時間感覚の障害は、サバイバーたちが記憶や記銘の能力に思考を生じている事によって強まります。●サバイバーは外傷体験やその周辺の記憶を忘れている事が多いのです。思いだす事が苦痛な記憶の回想を抑制しているうちに、回想できなくなるという現象を指して「抑圧」といいます。過去に起こった事実は思い出されないまま、その時の不安、恐怖、絶望の感覚だけが生々しくよみがえるという事になると、その生活は苦痛そのものになります。
 一方、サバイバーは苦痛な体験に繰り返し出会ううちの、その体験中の自分を放心状態にしておく術を会得するようになった人でもあります。この術は、一種の自己催眠ですが、これに熟達すると体験した事が現実感を持って想起できなくなります。中には放心したまま、傍目には異常を感じさせないので、「夢の中に生きる」ようにして生きている人もいて、この放心状態を離人症とか離人症性障害といいます。何かのきっかけで離人症がはじまる場合もあり、その時には自分の「たましい」が自分から抜け出て、自分のやっている事を外から見ているという一風変わった体験(幽体離脱)を味わう事もあります。
 このように様々な問題や障害がサバイバーには伴いやすいものですが、中でも最大の問題は彼らに見られる世界観のゆがみでしょう。世の中を危険なもの、自分に敵対するものに満ちたものと考え、その中で自分は敗北し、絶望し、悲惨な死をとげるものだという思い込みです。
この非合理な信念にそって、周囲の人々の振る舞いを見れば、その人々は全て敵に見えます。自分を侮辱し、嘲笑し、傷つける人々の群れのように思え、どこかに逃げるか、追い詰められて反撃したくなってしまいます。逃避して孤立している人や、攻撃してくる人に対して、世間は不審に思い、警戒します。こうしてサバイバーの思い込みは現実になっていくのです。
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