アメリカは日本のことなんか、本当にパートナー、同盟国なんて思っていない。言う通りついて来るポチ公で、お金をいっぱい持っている。現実には、必要な時金出させりゃいいや、というくらいの感じなのだ。

採録

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もちろん一番の問題は、日米関係なのだけれども。

「日米関係は大丈夫だ」みたいにみんな、マスコミを含めて日本人はみんな思っている。日米関係が大事なのは分かっているけれど、じゃあ本当に日米関係が、日米同盟と言われるような中身になっているのか。みなさん、本当にそう思うだろうか。

アメリカは日本のことなんか、本当にパートナー、同盟国なんて思っていない。言う通りついて来るポチ公で、お金をいっぱい持っている。現実には、必要な時金出させりゃいいや、というくらいの感じなのだ。

紹介にあったから言うが、私が自民党の幹事長の時に、第一次湾岸戦争、中東のクウェートをイラクのフセイン大統領による占領、侵略があった。

 

この時に、米軍は50万の兵力を沿岸に集中し、各国も兵力を出した。しかし、開戦の前の晩、官邸で政府与党首脳会議が開かれた。そして、私は「単なるデモンストレーションじゃない。50万もの兵力を集中して、デモンストレーションで終わるなんてことはない。必ず戦争になる。」ということを主張したのだけれども、政府側は、外務省を始めとして「いや、戦争にはなりませんね、絶対なりません。」と言う。夜中の12時頃だったか。

私は、これは別に直接的にアメリカと話して情報を持っていたわけではない。常識論として「戦争になる。」と言ったのだが、「ない」と政府は言う。

 

それでしょうがない、家に帰って寝ていたら夜明けの4時頃、突然電話が来て「ただ今、アメリカから、本日の朝8時をもって開戦するという通告がありました。」と。本当に馬鹿みたいな話であろう。何故、政府というのは現実を目の前にしながら、そのことを判断できないのか。

アメリカから、何も知らされてないからである。日本に教えたって役に立たないし、情報が漏れてしまうだけだと。4時間前に、アメリカ政府から8時の開戦を知らせて来たのである。

そんな程度なのだ、日本というのは。

 

それから、次の戦争の時にはどうだったか。その次の戦争、小泉総理の時の、与野党の党首は集まれと呼ばれて、私が小泉さんに、このままだとやはりまた戦争になるのではないだろうかと。その時、日本はどうするのかと尋ねたら、小泉さんが「いやあ、そん時はそん時の雰囲気だ」と言った。

戦争になった時どうするかという問題を、その時の雰囲気で片付けるということ自体が、まったく奇妙な話なのだが、何故そう言ったのか。

これも、アメリカから何も知らされていないからである。

 

そしてこの時は、アメリカから開戦、戦争が始まってから電話が来た。しかも大統領でもない、国務長官でもない。あの時は確かアーミテージ(国務副長官)の次官補かなにかの電話1本で「戦争が始まった」という通告があっただけ。

だから、本当に私は、日米同盟は大事だし、生命線であると思う。しかし、そのためには本当に同盟と言われるに相応しいパートナーに、日本はならなければならない。そのための役割を果たさなければいけない、と思っている。

 

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まず、日中関係。防空識別圏を突然彼等が設定した。これは非常識だし、直ちに「結構でございます」と言えるはずのものではない。

しかし、いずれにしろ、現実問題として彼等がそういうことをやってきた。今、安倍さんも、あるいはその他の人も、まったく首脳と話し合いができないという異常な状態にある。この一番最初のきっかけは、これは民主党の総理だけれども、野田さんがウラジオストックで会合があった時、立ち話し的だったらしいが、当時の胡錦濤主席から「尖閣諸島の国有化は困る。」と「国有化されてしまうと、ちょっと立場がない。それだけは止めてくれ。」という話しをされて、その場にいたわけでないから野田さんが何と言ったか知らないが、良いような悪いような意味不明な話しをしたのではないかと思う。

 

外務省が後から「ちゃんと、あの時断った。」なんて言っているが、そんなの嘘だ。断りっこない。

常にそういう曖昧な態度を取るから、誤解を招き、また、軽蔑される。

結局、帰って来た途端に国有化してしまったから、中国としては胡錦濤主席がそうやってお願いしたのに、イエスとは言わなかったのだろうけれども、良いような悪いような意味不明な返事だったのだろうが、何となく、自分の言うこと聞いてくれたのかなと思っていたら、途端にそうなったということで、まったくの面目丸潰れ、というところから始まったのである。

 

私も日米交渉というのは二度三度と(経験がある)。私は外交の専門家ではないけれど、誰も行く人がいなくなって、役人も政治家も誰も行かない。「お前行け」なんて言われて、最初は、建設交渉というのがあった。それから、オレンジ・牛肉の交渉も同じ時期にあった。それから、みなさんの今持っている携帯電話、テレコミの交渉があった。特に、建設もそうだけれど、テレコミの、携帯電話は、当時日本はNTTの独占で、携帯電話だってこんなに大きな重いトランクを持って歩くような携帯電話だった。

アメリカのモトロ-ラというのは、こんな小さい今の携帯電話みたいのを発明して、これを入れろとなった。ところが日本ではNTT独占。「それは困ります」と言って、政治問題化してしまった。貿易摩擦の最たるものである。

 

それで誰も行かなくなって「お前行け」という話になったわけである。それでも、とにかく2度、3度の交渉で、一番、私は何があれだった(驚いた)かと言うと「日本人は嘘をつく」と。「信用できない」ということから始まったのである。

何故かと言うと、(交渉は)特にお役人がずっとやって来ているわけである。彼等は、悪意ではないけれども、日本の国内産業を守ろうということで、戦後ずっとそれでやって来たわけだから、その都度その都度、その場を糊塗するような話しぶりをして来たわけだ。

 

だから、相手は日本の真意が分からない。(日本人は)ノーという言葉は絶対言わないであろう。良いような悪いような話しをしてくるものだから、まったく信用しない。

あの有名なニクソン・佐藤栄作さんの会談。繊維交渉だったのだが、その時に、何故ニクソンが怒ったかと言うと、繊維のことでアメリカが日本に要請して、佐藤栄作さんは「前向きに検討します。」と言ったのだ。「前向きに検討する」というのは役人が作り出した用語で、これは日本ではノーということなのだ。

日本人だと分かる。「前向きに検討します。」ああ、これはもうダメなのだなと。ところが、英語で何と
訳したか。外務省の官僚は、二枚舌というか、違う訳し方をした。「日本の内閣総理大臣は、それについて great effort.make great effort.」とした。「最大限の努力をします。」と総理大臣が答えたのだから、ニクソン大統領・アメリカは、ああ、これは了解だなと思ったのである。こんなことを本当にやっているのだ、いつも。

 

「前向きに検討します。」なんて。まあ、英語で訳しようがないから、彼等の顔色との兼ね合いで、そういう言葉を使ったのだろうけれど。

こういう日本人の曖昧さ。外交交渉は、非常に苦手である。だから、私が最初に行った時は、そこから始まったのである。

それでもう、アメリカの言う通りにしろと言うのだから。携帯電話の時も、日本じゃこんなにバカみたいに大きな携帯電話だったけれど、自動車電話としても使っていた。私はそのセルラーいいだろうとは思うけれども、それを使わせる電波がない、と言った。そうしたら何て言ったと思うか。日本で今使っている自動車電話、携帯電話の電波を「俺によこせ」と言ったのだ。 まともな顔して本当に言ったのだ。

 

「お前、何を言うか」と。じゃあ、日本が逆に、お前達が一般国民が使っているここの部分の電波を日本によこせと言って、「はい、分かりました」と言うのか。

こういう非常識なことでも、平気で言う。どこまでも来る。だから私は、そこを解きほぐすのに、1週間か10日くらい、かなりの交渉をしたけれども、そういうことが必要だったというのが現実である。

アメリカ人はとても人が好くて明るくて陽気で善い人達である。だけど、実際に政治を行なうような支配層と言うか、エスタブリッシュメントと言うか、そういうリーダー達の感覚は、日本に対してそんな程度である。

これを日本人は、よっぽど頭に入れておかないと間違う。

 

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アメリカのことは、それぐらいにして、今の中国と朝鮮半島について。中国も、これは引くに引けないのだ。

私がかつて中国に行った時、 「 尖閣問題はいずれ解決しなければだめですよ。私、民主党内閣になったら解決します。」と言ったけれども、その時相手方は「いや、これは鄧小平さんが言ったように後世の世代の人達に任せようという解決で。」と言った。「いや、後世の世代と言ったって、鄧小平さんからもう20年も30年も経っていますよ。」という話をしたのだが、いずれにしろ中国としても引くに引けないのである。あの胡錦濤・野田会談以来だが。

特に最近の中国は、非常に国内の治安が悪化している。それはそのはずである。私は彼等にも面と向かって何でも言うのだが、共産党の一党独裁と市場経済とは、その原理は相反する。両立できないと。市場経済とは何かというと、自由な商取引を前提としている。経済の自由というのは、政治の自由につながる。だから必ず、一党独裁・共産党政権との矛盾が起きてくると言った経過がある。

 

いずれにしろ、非常に貧富の格差が大きくなって、色々な問題が起きる。それから、多民族の国家だから、この間、天安門に突っ込んだり、あるいは新疆ウイグル自治区での、いつもと言うか最近ずっとだが暴動が起きたり、チベット・蒙古・満洲みんな同じだけれども、そういう内政上の事情があるから余計に引けない。

内政で問題ある時は外に強く出るというのが、政治の常套手段である。だから、ここは本当にお互いの信頼関係と誠意を持って早く解決しておかないと。

この間は、船が巡視艇に衝突したぐらいで終わったけれども、今度は防空識別圏ということになると、軍の領域になってくるから、偶発的な事故が起こらないとは限らない。そんな危うさを非常に含んでいると思っている。

 

それから、歴史問題もそうだ。朝鮮半島。これも朴大統領は、とにかく慰安婦問題を始め歴史問題を非常に強く主張していて、安倍さんが「そんなことは私じゃなくて後世の歴史に任せる。」なんて言っているけれども、後世と言ったって、あれから60年も70年も経っているのだから。今、政治が現実の問題として判断しなければならない。どういう判断をするかは、その政府の決定によるわけだけれども、いずれにしてもそういう中で(判断しなければならない)。

 

朝鮮半島でも北朝鮮は凄い。近所の国で、ああいうところが今なおあるのだから。自分が第一書記に就く時に後ろ盾になってくれて、応援してくれた叔父さんを処刑してしまう、殺してしまうのだから。そういう国が現実に存在している。

しかしこれは、恐怖政治である。皆に恐怖を植え付けるのだろうけれども、恐怖政治はこれまた歴史の中で、長続きしたことはない。民を治めるのに、暴力や恐怖で治めることはできない。

 

したがって、北朝鮮の内情も非常に深刻なのだと、私は思う。だから、そのぐらいのことを、やらなければならない。だいたい政権というのは、国民の色んな意見を「力」で圧殺しよう、抹殺しようとした時には、崩壊が始まっている。それも歴史の教えるところである。

ただ、北朝鮮のような場合は、韓国国防相があの後全軍の司令官を集めて、期日を限定して言ったであろう。「1月から3月の間に必ず軍事的挑発行為があるだろう。どのような行為があろうとも断固反撃できる態勢を取っておけ。」と、全部隊の司令官に指示を出している。

 

これはもう、私も覚えていないが、朝鮮動乱のことなどみなさん知らないと思うが、北の軍隊が南下して、朝鮮半島を席巻し、残るは釜山とその周りだけになった。時の連合軍司令官マッカーサーがソウルの西の港の仁川という河口から逆上陸して、北の軍を追い払ったのだが、危ういと見た中共・人民解放軍が参戦してまた後退し、今の38度線になった。これは、本当に純軍事的に見ると、北朝鮮が突然南下したら、とても韓国の軍隊やアメリカの二個師団では、多分、防ぎようがないであろう。もう一度、戦後の朝鮮動乱の二の舞になる可能性が非常に強い。

 

核兵器や何かは使えないから。すると、通常兵器での戦いは、奇襲のメリットを持っているところが強いに決まっている。それで、ソウルは、北朝鮮からの長距離砲の射程範囲内である。脅かしに「 一瞬にしてソウルは火の海だ 。」と北朝鮮の軍人が言うけれど、事実、本当なのだ。長距離砲の射程内で、本気でやればソウルがいっぺんに壊滅するというのが現実の状況である。そういうことをやるかどうかは分からないが、非常に危険をはらんでいる。

 

中国も色んな地域で、さっき言ったように色んな暴動が起きている。そういうことを考えてみると、日本の
位置するこの北東アジア・極東というのは、非常に不安定な政治状況の下にある。

日本人はまだ、もう天下泰平で良いことがずっと続くみたいな気でいるけれども、周辺の国々はそういう状況にあるということである。

 

中国のことでも、天安門に突っ込んだなんていうことは、前代未聞であろう。これを、中国政府はテロと言い、アメリカもあの国際ビルの攻撃をテロと言うけれども。テロ、即ち、暴力によってあるいは武力によって、人を納得させよう、あるいは征服しようということは、もちろん、認めることはできないし、これを排除しなければならない。

 

しかし、みなさんテロと言うと、今言ったように、テロと絶対対決しこれを排除しなければいけないと思う人はいるだろうか。どうだろう、テロは排除すべきだと思うか。普通一般、そう言うであろう。「テロはいけません」、「暴力はいけません」。

 

では例えば、今言った中国の例を取ると、新疆ウイグル族、これは、古くには蒙古高原にいた種族である。これが漢族・漢民族の支配に抵抗して、色々今、襲撃事件や何やら起こしている。これをもちろん中国政府はテロだと言うに決まっているが、これをテロだと思う人はいるだろうか。正当な行為だと思う人はどうだろう。

 

だから、独立運動とテロとは、どう違うかということなのである、民族運動。テロというのを、例えば、ロシアのチェチェン共和国というのがある。チェチェンを知っているだろうか、コーカサス地方の。ここは、7代まで親の仇を知っているという、もの凄い民族である。このチェチェンも最近まで、ソビエト以来、ロシアと武力抗争をしていた。これは、テロかと言う話である。

 

テロだったら徹底的にやっつけなければならないであろう。ところが、このチェチェンというところは、ロシアの、女帝エカテリーナ、ロマノフ王朝の、この時にコーカサスを攻めて、そして確か何十年かかって、ようやく征服したのである。しかし、それ以来ずっと数百年に渡ってチェチェン民族はロシアに反抗しているのである。

 

これを、テロと言うのということになる。じゃあ、武力でチェチェンを支配したロシアの行為は何だ、ということである。

中国と言うと、新疆は清朝の領土であるから。満洲族の清朝の。今の中国の領土というのは、清朝の領土。もっと清朝は大きかったけれどロシアに全部削り取られて、今の国境線になったけれど。

 

では例えば、パレスチナはどうだろう。パレスチナもテロか。テロだったら、徹底的にやっつけなければならないであろう。

だから、そのように、非常に単純に「いやテロだ」、「いや民族運動だ」と言って、一線を明確に引けるわけではないのである。

 

そして、アメリカはアフガン戦争をする時に「これはアメリカの戦争だ。」と、ブッシュ・ジュニアが威張って、他の連中が何を言おうが「俺、アメリカがやるんだ。」と言ってアフガンに進駐したけれど。結局、上手くいかなくて、みんなに泣いて回って。国際社会でもっと助けてくれということになった。

 

この時にも、アメリカは、チェチェンはテロだと、新疆の独立運動もテロだということを、ロシア、中国と妥協した。それでアフガン侵攻を認めさせた。

だから、そういう意味で、非常に国際政治というのは、日本人の考えているような、そんなやわなものではないのである。本当に、国家と民族の生き死にを懸けた闘争なのだ。

 

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外交交渉も非常にシビアである。そして、自分の主張をどこまでも言う。

 

さっき日米交渉のことをちょっと言ったけれども、日本人では「そんな馬鹿な」と思うようなことも、どんどん言ってくる。(相手が)下がれば、どこまででも、どんどん、どんどん押してくる。それは当然、自分達の国益を代表してやるのだから当たり前なのだけれども。

そういう人達を相手にして日本の生存を図っていかなくてはならないということであり、ただ単に「中国けしからん、韓国けしからん 」と言っても、けしからんところはあるだろうけれども、それだけで済まないし、単にアイツ等が悪いのだと言うだけでは、国際政治の問題は解決しない。

 

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これから本当に日本は、世界中の国と伍して、日本の国の国民の生活の安定を、日本の将来を図っていくためには、もっとしっかりした、自立した日本人、そしてちゃんと彼等と対等に話しのできる日本人にならなければならない。

政治制度で言えば、きちんとした民主主義を理解し、民主主義の政治制度を日本に定着させなければいけない。そう思っている。