論文の処理3

 前項続き
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自分の研究に深く関わる内容の論文、明らかに直接的な先行研究である論文、引用する可能性がある論文、という場合は精読することになります。具体的にはアブストラクト、序論、方法、結果、考察を一通り目を通すことになります。序論では、本検討にいたる先行する知見や問題意識、研究目的に至る論理を追っていきます。方法と結果では具体的な研究手法や対象、得られた結果をどういう方法(統計も含めて)で解析しているかを見ていきます。結果では、計測する方法によって得られたデータについて単純な表示、もしくは、さらなる解析を行ったデータが提示されていると思いますが、まあ目を通し、しかるべき統計解析を行っているか、グラフや波形などの表示が分かりやすいかどうかを見ていきます。考察では、まずは序論の問題意識や目的に応じて、検討によって得られた結果と付き合わせて直接的な考察がなされているかどうか、それは論理的で、納得出来る内容かどうか、さらにその後に様々な切り口で本検討の結果や意味する意義について書かれてあると思いますが、やはり論理的であるかどうか、納得出来るものかどうか、興味をそそる知見かどうか、を見ていきます。

それで自分がどんなツールを使って精読しているかについて記していきます。

1.文献をPCで読む
まず、僕は現在は論文をそもそも紙に印刷しないで、PDFファイルで入手してそれをAcrobat、あるいはフリーのPDFファイルのビューアーでPCで閲覧します。
いろいろ理由がありますが、管理の面で物理的な空間を占めない、Google dedktopなどの検索ソフトを用いることで、PCのどこにおいていてもキーワードや著者名を入れれば、たちどころにそのPDFが開ける、最近は大型の液晶ディスプレイが安く購入できる時代になったので、目と画面までの距離を広くとれるしビューアーソフトで自由に拡大表示できるので身体的負荷が思ったよりほとんど無い、といった実用的側面が大きいです。
さらに論文執筆時に専門的内容の英語表現や名詞のテクニカルタームをどういう動詞などで受けるかといったとき辞典は有用ではありません。そうした場合は複数の先行研究の文献を閲覧して、そこで使われている表現を参考にします。例えばANOVA(分散分析)という名詞をどいう動詞で表現するか、が分からない時、和英辞典は役に立ちません。PDFビューアーの検索か、Google Desktopで「ANOVA」と検索すると、PC内のPDFファイルに総当たりで、ANOVAが使われているか検索します。その結果を見るとANOVAを含む英文が表示されて、ANOVA was carried onとか、ANOVA wad conducted on などという表現が使われていることが分かります。
その他にもメリットがありますが、こんなところにしまして、とにかく複数の理由で論文はPDFファイルとしてPCで閲覧することにしています。

2.論文で引用されている文献について整理する準備をする
精読する論文はほとんどが自分が現在書いている、あるいは将来書くであろう論文に引用する可能性があります。そして原著論文はたいてい数十本の文献が引用されています。ですので今精読しようと思っている論文の中には、特に序論と考察では、自分が興味を持つ文献、引用すべきだなと思われる文献が引用されているでしょう。
ですので、単に読むのではなく、出てきた引用文献について集めるべきだなと思う文献が必ずあるのだと言う心構えを持って、それをピックアップしながら読み進めないといけません。

フリーソフトでememopadというアウトラインプロセッサのインターフェースのテキストエディタがありますが、これを入手して今読む文献のツリーを作成します。
そして下位のツリーにページを作ります。
この下位のページに、今読んでいる文献のPDFファイルの最後にある引用文献のReferencesをコピペします(下図参照)。

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このようにしてから、序論から読み進めていきます。
それで序論はどんな試みがなされてきたかについて沢山の引用文献を踏まえて書かれています。その中に、「あっ、これは自分も読まないといけない」という文献の記述があると思います。
その場合は、ememopadの上位のツリーの画面に戻って、引用されている文献が一言で何を言っている論文なのかを日本語で書きまして、その下に論文での記述をコピペします。そしてその下に、その引用文献の書誌情報(PDFファイルの最後のReferencesに書かれてある情報)を下位のツリーにまとめたコピペした一覧から探してコピーして、上位のツリーに切り替えて貼り付けます。
要約すると以下の通りです。

今精読中の論文の中で重要な引用文献が見つかった(精読しているPDFファイルを読んでいる時)

その引用文献の内容を日本語で簡単にまとめる(ememopad上位ツリーの1行目)
その引用文献の文中での記述をコピペする(PDFファイルの引用文献の記述をememopad上位ツリーの2行目に書く)
引用文献の書誌情報をコピペする(ememopad下位ツリーの引用文献のReferencesから、上位ツリーの3行目にコピペ)

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このようにすることで、引用文献についての情報が記録として残るので、あとでその引用文献を入手するきっかけになります。
また1行目に短い日本語で表現することによって、後で時間が経ってもememopadのこのページを見たときにどんな先行研究があるかをぱっと見て分かるような高い視認性でまとめられているので、もう2度と精読した文献を読み直す必要がなくなると思います。3行目はその引用文献の書誌情報が貼り付けられているので、入手したいなと思ったら、例えばタイトルをコピーしてgoogleで検索すると、Pubmedかその文献のジャーナルのサイトで飛んで行って詳しく知ることができるでしょう。

細かいんですが、2行目のPDFファイルから貼り付けた引用文献の英語の記述は、後で自分が論文を執筆するときに、引用文献を自分の論文の主に序論や考察で引用したいと考えますが、その際の英作文の参考にするためです。
3行目の書誌情報は、別にPDFファイルの末尾のReferenceからコピペすればいいだろうと思われますが、そうすると今読んでいるページから最後のReferenceのページまでスクロールバーなどで移動して、ememopadへのコピペなどして、また精読に戻るときに読んでいる場所までスクロールバーなどで動かすのですが、正確に戻れなくなることがあるので、PDFファイルは読んでいる部分はそのまま表示させたいわけです。なので、論文を新たに精読する時に真っ先にRefenrecesをまるごと別のアプリケーションにまとめてコピペさせようということで、memopadの下位ツリーのページが適当と考えたわけです。

 

まずはここまでにしましょう。
いやあ自分が試行錯誤でやってきて今のスタイルに到達し、てきぱきと当たり前のようにやっていることですが、第三者向けに書くとかなり字数が必要となる内容でした。。

紙に印刷しないだと!?いろいろソフトを使いこなすとは面倒な、、、なんて思われるような「機械」に頼ったやり方でありますが、ライフハックの思想は、自分が本当に興味を持つ事象に真摯に向き合うために、その妨げとなるいかなる小さな心理的、物理的障壁を少しでも取り除き課題非関連の内容を意識上に乗せないようにする、そのために現代において発達してきたデジタルツールを使いこなす、ということだと自分は思っています。