反応性うつ病における正常反応と異常反応

反応性うつ病と内因性うつ病とを大きく分ける流儀が昔からある

反応性うつ病は、外部から環境として、また体験として、与えられるもの。
急性ストレス反応やPTSDなどもこの部類である。

内因性うつ病は原因不明であるが、遺伝子分析をするとどうも遺伝性もありそうな、生物学的なうつ病。
アルツハイマーの場合のべータ・アミロイドなどのような異常物質などは見つかっていないので、
遺伝子から発して神経回路の特性が問題になるのだろう。

iPS細胞を利用した研究が急速に進んでいて、そのうち、反応性うつ病や内因性うつ病の
神経細胞の特性が詳細に明らかになると思う。その段階で原因らしきものが見つかる可能性もある。

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反応性うつ病に関しては、人間が通常に体験する「悲嘆反応」の延長と考えると理解しやすいので
内因性うつ病よりは理解も共感もしやすいと一見考えられる。
肉親との死別、パートナーとの別離、失業など、人生での大きな悲嘆は誰しも経験することである。

しかしそこにはもう少し込み入った事情がある。

たとえば肉親と死別したことを取り上げてみる。
様々な個別の事情を勘案して、そのケースでは通常ではどの程度の強さと長さの悲嘆反応が
あるものだろうかとだいたい推定できる。
そこまでが正常悲嘆反応である。

問題はそのあり方を超えて、悲嘆の期間、悲嘆の内容や深さの点で、正常と異なる場合があり
そこには異常悲嘆反応がある。

実際、主観的には「これだけひどいパーワーハラスメントを受けたのだから、
このくらいの不安・抑うつは生じるはずだ」という感じ方もある。
主観的には違和感がない。
その一方で、「この程度のストレスで、こんなに不安になったりうつになつたりするのはおかしいと思うんですが」という感じ方の場合もある。
こちらは主観的に違和感がある。

この違和感の部分が異常部分である。

主観的に違和感なく、「強いストレスだったから強い反応が出ている」と感じている人の場合には、
実際にそうである場合もあり、また一方では、自分の反応の異常さに気づいていないだけという場合もある。

病気の診断としては、
ストレスの種類と程度と、反応の種類と程度を見比べて、異常があるかどうかを判別することが
仕事になる。
もちろん、複雑であり、正常と異常の境界はあいまいである。