安全保障がコモディタイズすると、かつて国家と一体だった資本が自立し、国境を超えて移動するようになる。19世紀にイギリスの金融資本が最強だったのは、大英帝国の軍事力に守られたためだが、今ではコンピュータのセキュリティさえ保証されれば、ケイマン諸島でもマカオでもよい。 主要な産業が農業と製造業だった時代には、資本収益を拡大するには領土の拡大が必要だったが、今では最大の付加価値の源泉は土地に依存しない知的資本なので、戦争という高コストの手段で掠奪する必要はない。国家は「自由経済」を守り、金融資本が他国で上げた

安全保障がコモディタイズすると、かつて国家と一体だった資本が自立し、国境を超えて移動するようになる。19世紀にイギリスの金融資本が最強だったのは、大英帝国の軍事力に守られたためだが、今ではコンピュータのセキュリティさえ保証されれば、ケイマン諸島でもマカオでもよい。
主要な産業が農業と製造業だった時代には、資本収益を拡大するには領土の拡大が必要だったが、今では最大の付加価値の源泉は土地に依存しない知的資本なので、戦争という高コストの手段で掠奪する必要はない。国家は「自由経済」を守り、金融資本が他国で上げた収益を保護して増殖させ、その富に寄生すればいいのだ。
フリーライダーを解決する方法は、ホッブズの時代と変わらない:各国の上に立って(暴力をともなって)命令する「絶対的な主権者」を設立することだ。そういう世界政府はカントの時代から語られてきたが、見果てぬ夢である。それが不可能である限り、主権国家とグローバル資本主義の闘いで、前者に勝ち目はない。資本主義が終わるのは、それが国家(commonwealth)を致命的に蝕んで資本主義そのものが立ちゆかなくなるときだろう。