自閉症や学習障害(LD)、アスペルガー症候群などの発達障害について、2013年度に全国の「発達障害者支援センター」に寄せられた相談は約6万8千件に上り、統計を取り始めた05年度から約4倍に増えたことが17日、厚生労働省のまとめで分かった。  発達障害者支援法の施行から4月で10年。他人との意思疎通や物事を計画的に進めることが難しいなど、障害の特徴が徐々に知られるようになり、受診できる医療機関を問い合わせたり、学校や職場の悩みを打ち明けたりする人が増えたとみられる。ただ件数は自治体間でばらつきがあり、人

 自閉症や学習障害(LD)、アスペルガー症候群などの発達障害について、2013年度に全国の「発達障害者支援センター」に寄せられた相談は約6万8千件に上り、統計を取り始めた05年度から約4倍に増えたことが17日、厚生労働省のまとめで分かった。
 発達障害者支援法の施行から4月で10年。他人との意思疎通や物事を計画的に進めることが難しいなど、障害の特徴が徐々に知られるようになり、受診できる医療機関を問い合わせたり、学校や職場の悩みを打ち明けたりする人が増えたとみられる。ただ件数は自治体間でばらつきがあり、人員不足や対応の遅れを指摘する声もある。
 厚労省の担当者は「関係機関との役割分担が進んだ結果、件数が少ない自治体もある。単純には評価できないが、取り組みに地域差があるのは確かで、質の確保に取り組む」としている。
 センターは同法に基づく総合窓口で、すべての都道府県と政令指定都市が設置。独自に置く市町村もある。約3割は自治体の直営で、残りの約7割は社会福祉法人などに運営を委託。社会福祉士や臨床心理士らが(1)乳幼児期の発達支援(2)成人期の就労支援(3)情報提供や福祉職員の研修(4)関係機関との連携―を担う。
 全国の相談件数は05年度の約1万6千件から増え続け、13年度は4・3倍に。自治体別では仙台市が3357件と最多で、東京都(2681件)、山梨県(2565件)、兵庫県(2366件)、石川県(1889件)が続いた。
 人口規模に関係なく、センターは1カ所だけという自治体が多い。1カ所当たりの職員数は全国平均で6人程度だが、仙台市は2カ所で計約130人。児童相談所などの一部機能も担っており、相談件数が多いという。
 東京都は1カ所だけで、あるカウンセラーは「障害が軽い人は相談をしても後回しにされ、早期診断が必要なグレーゾーンの人が見落とされる恐れがある」と話す。
 ※発達障害
 自閉症やアスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの総称。脳機能の障害が原因とされるが、詳しい仕組みは分かっていない。2012年の文部科学省の調査では、全国の通常学級に通う小中学生の6・5%が発達障害の可能性があると推計された。幼少期に症状が現れるが、大人になってから医療機関を受診し、診断されるケースも増えている。