ADHDに対する薬物療法は犯罪傾向を低減させる Medication for ADHD Reduces Criminality 治療は、薬剤や犯罪の種類にかかわらず、男性および女性における刑事上の有罪判決の減少と強く関連している。 注意欠如・多動性障害(ADHD)は外在化障害および将来の犯罪行動と関連しており、中枢刺激薬を用いたADHD治療は小児における素行障害を減少させる。しかしながら、治療と成人における犯罪傾向(criminality)の変化を関連付ける具体的なデータは報告されていない。今回Lic

ADHDに対する薬物療法は犯罪傾向を低減させる
Medication for ADHD Reduces Criminality
治療は、薬剤や犯罪の種類にかかわらず、男性および女性における刑事上の有罪判決の減少と強く関連している。
注意欠如・多動性障害(ADHD)は外在化障害および将来の犯罪行動と関連しており、中枢刺激薬を用いたADHD治療は小児における素行障害を減少させる。しかしながら、治療と成人における犯罪傾向(criminality)の変化を関連付ける具体的なデータは報告されていない。今回Lichtensteinらは、刑事上の有罪判決と治療期間のあいだにおける時間依存性の関連を検討した。 治療期間は中枢刺激薬の処方が連続する期間で、6ヵ月未満に2回逐次処方された場合とされた。非治療期間は処方を6ヵ月以上受けていない期間とされた。
本研究グループはスウェーデンの処方登録および犯罪登録を用いて、ADHDと診断されている男性16,087例、女性9,569例および年齢、性別、居住地域が一致する一般住民集団(対照群)に関する2006~09年分のデータを解析した。ADHDを有する男性のうち、53.6%がADHD治療薬を服用しており、36.6%が犯罪で有罪判決を受けていた(対照群ではそれぞれ0.2%、8.9%)。一方、女性では対応する値がそれぞれ62.7%と15.4%であった(対照群ではそれぞれ0.1%、2.2%)。
治療期間は低い犯罪率と関連していた(ハザード比[HR]:0.70[男性]、0.78[女性])。患者内において、治療期間と非治療期間を比較した解析でも同様な犯罪率の低下が認められた(HR:0.68[男性]、0.59[女性])。感度分析において、男性の犯罪率は非治療期間のほうが治療期間に比べ12%高く、治療・非治療期間の順序がこの差に関係しないことから、逆の因果関係である可能性は排除された。併存する外在化障害で補正した解析、ならびに中枢刺激薬と非中枢刺激系の薬剤に層別化した解析でも同様な関連が示された(ただし、選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI]に関しては有意性が認められなかった)。
コメント
多くの人々にとって、犯罪は深く染み込んだ(すなわち特質様の)行動パターンであり、薬剤で誘導した“状態”の変化による影響を受けにくい、と考えている専門家もいる。しかし本研究は説得力をもって、薬物を用いたADHD治療が少なくとも一部の患者において犯罪遂行の傾向性を低減させることを示している。今回の結果は、ADHD治療が収監された成人において将来の再犯を抑制するのかどうかという疑問を投げかけると同時に、反社会的行動の抑制を目的とした小児期の早い段階から一貫した治療の確立を支持している。