我々は意思決定が代表議会によるものだと錯誤しているのだが、そもそも法案群は米国を触媒とする多国籍企業が策定した「日米投資イニシアティブ」や「日米経済調和対話」をプロトタイプ(原型)とするのであり、さらには「日本経団連政党評価表」によって執拗に調整されるのであり、すなわち国政議会とはセレモニーであり、民主主義とはフィクションに過ぎない。この体系は「ファシスト不在のファシズム」なのであり、不可視だが濃厚な資本の専制によって抑圧され続けているのだ。

○有色人種で唯一白人に刃向かった国・日本を叩きつぶす計画は、昭和二十年の八月十五日に終わったのではなかった。清水 馨八郎 (千葉大名誉教授) 
~我々の社会は小泉政権を起点としてグローバリズムという帝国主義に飲み込まれつつあるのだが、IMFの債務国でないにもかかわらず、労働法や会計制度の改変、資本の自由化(企業買収の簡易化)、民営化など、これほど多国籍企業群の要求に応じた国家はニホン以外に一つとして存在しない。つまり構造改革とは単純に「ワシントン・コンセンサス」(米国の対外戦略)への準拠であり、それは通常において金融勢力が債務国に突きつけるコンディショナリティ(融資条項)なのであり、世界はこの国の異様を注視しているのだ。
~全ては解体の途上にあるのだけれど、我々はメディアという文明のドラッグによってあらゆる切除を痛覚することなく、おおよそ無自覚にリソース(国家資源)を略奪され続けている。小泉政権による市場原理主義改革を起点として、労働市場および金融市場から揮発するマネーは、それぞれ月間あたり2兆数千億円ベースに達するのであり、つまり年間あたり国税を上回る金が国民経済から消失している試算なのだが、このようにプランテーションを構造化した諸制度を理解する有権者は殆どいない。
~2013年の参院選では自民が大勝し、公明、みんな、維新など補完勢力とともに過半数議席を獲得したのだが、語るまでもなく彼らは日本経団連(多国籍企業)とCSIS(戦略国際問題研究所)に与するコンプラドール(外国人に手引きする買弁)集団である。その後は衆参一体となり、国家主権および経済市場を逐次的に譲渡するのであり、憲法の無化により戦争国家を完成しつつ、米国の本質であるネオ・コンサバティブ(軍産複合体)に恭順を示すわけだ。国家意思には常に資本意思が潜在していると捉えなくてはならない。
~直言するならば、社会資本を根こそぎ外国人に引き渡することによりインセンティブ(成功報酬)を得るという目論みであり、つまり連中のうち誰一人として国民の福祉や生命を守ろうなどとは考えていない。どのように社会が荒廃しようが、あるいは戦争国家が構造化されようが、支配勢力に与する多国籍企業の役員、テレビ局や新聞社の社員、国政・地方議員や公務員だけは安定給与と福利厚生さらには資産が担保される仕組みなのであり、おおよそ支配階級と一般国民の二項対立は究極に激化しているのだと思う。
~2013年の参院選挙では前年の衆院選でプログラム改竄が疑われた集計マシーンを再使用したのであり、また政権のステークホルダー(利害関係者)がその運営企業に資本参画するというデタラメであり、さらには野党第一党が検察による国策捜査とメディアバッシングにより実質の解体状態なのだから、はなから国民に選択肢など不在なのであり、この国の代表民主制度は二重、三重に殺されている。これはもはや、正常選挙のため国連軍の監視を要請する第三世界の様相だろう。
~長期不況に陥った最大要因とは、多国籍企業化した日本経団連の要請により派遣業務のポジティブ・リスト(非正規就労が禁じられた16の職種)を無効化し、労働者の40%近くを非正規に貶め貧困化させたことによるのだ。そのような「人間の物象化」(労働者の奴隷化)による需給ギャップを解消することなく、経済システムを正常化することなど不可能だろう。
~非正規就労者は過去10年間において300兆円規模の賃金を逸失しているのだが、この額は主要企業の内部留保と派遣業者の売り上げ、役員報酬や外国人投資家への配当などの総額とほぼ一致している。すなわち大衆消費というGDPの核心を形成するマネーが内外の富裕層に一極集中しているのだから、消費不足によって国民経済が破綻するのも当然だ。
~政治集団は労働市場の矛盾を是正するのではなく、真逆にそれを強化し、反福祉を推進しつつ、生活領域を破壊する目論見だ。つまり全てはフリードマン理論に従い進捗しているのだが、それによって繁栄した国家モデルは世界に一つとして存在しない。
~これほど国民が疲弊しながら多国籍企業の約60%に法人税免除が継続され、さらに消費税率の引き上げにより国防費100%以上の金が輸出還付金として彼らに付与されるわけだ。そのうえ自由貿易(TPP)により食糧自給権も関税自主権も、つまり国家主権が解体されるのであり、我々の体系は新植民地主義という「帝国」の版図に飲み込まれようとしている。
○「おまえたちには政治権力を持たせてやるし、見かけ上の統治をさせてやるが、本当の統治はどこか別の場所で行われる」ということ。ヤスミン・スーカ (南アフリカの人権活動家)
~おおよそ国家の意思決定は国政議会によるのではなく、CSIS(米戦略国際問題研究所)など宗主国のシンクタンクによるのであり、つまり諸制度は多国籍資本によって起草されるのであり、もはや様相は社会調整機能の一切が、東インド会社というコングロマリット(半官半民の植民地企業体)に委ねられたイギリス領インド帝国となんら変わりがないだろう。
○世界を飲み込もうとしているのは、「キャピタリズム(資本主義)」よりむしろ、「コーポラティズム(政府と企業の癒着主義)」の方だろう。堤未果 (日本のジャーナリスト) 
○コーポラティズムの最大の特徴は、国民の主権が軍事力や暴力ではなく、不適切な形で政治と癒着した企業群によって、合法的に奪われることだ。 堤未果 (日本のジャーナリスト) ~仮に正当なプロセスを経て代表民主の政権が誕生したところで、鳩山・小沢内閣のように官吏機構や多国籍企業の権益を損なうこととなれば、国策捜査によって解体され、政党の体裁を残すのみで形骸化されるのであり、つまりどちらに転んでも民意が反映されることは叶わない。換言するならば、国民は社会福祉と労働権の増進を中心手段とする修正資本主義を求めながら、いずれの選択においても、それらを徹底排除する市場原理主義が推進されるのである。
~最後の民主的な政治ユニットであった鳩山由紀夫と小沢一郎の失脚は官僚、報道、米国、財界など権益集団のクーデターによるものである。一般国民はあまりにも無知であるため、功績(対日改革要望書の破棄)を評価するどころか、そもそも既得権益が何かという理解すら覚束ない。トクベツカイケイも、ザイセイトウユウシも、ガイカクダンタイも、ナイセイカンショウも、意味化も観念化もできないのであり、搾取されているという自覚すらもなく、鳩山・小沢の敗北は、つまるところ民度の敗北であったのだと思う。
○議会と憲法は民主主義を保障するものではない。 小室直樹 (日本の法学者)
~2009年の政権交代後も、独立行政法人、財政投融資、特別会計、天下り、クロス・オーナーシップ(新聞社による系列テレビ局支配)、企業団体献金など腐敗権益は解体されるのではなく真逆に強化され、さらに絶対化されたのである。国家システムとはコーポラティズム(資本と行政の共謀主義)を核心とするのであり、そのような連関図において政治者グループは経済団体の下部構造に過ぎず、国民憎悪の捌け口として常にdisposability(使い捨て)を原質としている。
~我々は意思決定が代表議会によるものだと錯誤しているのだが、そもそも法案群は米国を触媒とする多国籍企業が策定した「日米投資イニシアティブ」や「日米経済調和対話」をプロトタイプ(原型)とするのであり、さらには「日本経団連政党評価表」によって執拗に調整されるのであり、すなわち国政議会とはセレモニーであり、民主主義とはフィクションに過ぎない。この体系は「ファシスト不在のファシズム」なのであり、不可視だが濃厚な資本の専制によって抑圧され続けているのだ。
~小泉純一郎率いる自民党は、2001年に外資比率50%を超える企業群の献金を解禁している。つまり外国人の意向を反映した法制度を整備することにより、その達成度に応じてインセンティブ(成功報酬)を獲得するモデルを構築したのであり、すなわち売国をビジネスモデル化したのであり、この前提において、彼らの支持者は例外なく売国者もしくは極度の低知能者なのだと思う。
~原発推進も、消費税率引き上げも、労賃の引き下げも、解雇の簡易化も、民営化による国家インフラの譲渡も、非正規就労の絶対も、生活保護や教育費など社会保障の全面的削減も、TPPの参加も、遺伝子組み換え食品やBSE牛の流通も、食料自給権と関税自主権の破棄も、国民皆保険制度の解体も、年金支給年齢の引き上げも、言論弾圧法の施行も、戦争国家化へ向けた思想浄化も、あらゆる意思決定は例外なく支配集団のシナリオに基づくのであり、それを可能とする体制は徹底した反知識主義によって維持されている。
2015-06-12 23:21