“ 山を登っているとあまりに集中してしまい、周りが見えなくなり独特な世界に入ることがあります。 僕はそれを「ZONE」と読んでいます。特に酸素の薄い8000mや、エベレストは、気がつくとこのゾーンに入っていることがあります。これはそこまで行ったことのある人しかわからないかもしれないのですが、ZONEに入ると帰りたくなくなるのです。 時間の感覚もなく、寒いという感覚もなくなり、ヒマラヤの青い空と一点の頂しか見えなくなるのです。 でもそこで大切なのは「山を見るのではなく、山の先を見る」ことです。山は一瞬

山を登っているとあまりに集中してしまい、周りが見えなくなり独特な世界に入ることがあります。
僕はそれを「ZONE」と読んでいます。特に酸素の薄い8000mや、エベレストは、気がつくとこのゾーンに入っていることがあります。これはそこまで行ったことのある人しかわからないかもしれないのですが、ZONEに入ると帰りたくなくなるのです。
時間の感覚もなく、寒いという感覚もなくなり、ヒマラヤの青い空と一点の頂しか見えなくなるのです。
でもそこで大切なのは「山を見るのではなく、山の先を見る」ことです。山は一瞬です。どんなにすごい山を登っても一瞬なのです。
でもその山の先にもっと大切なものがある。何のために山を登るのか。己のために登るのか。それともただの自己満足なのか。理由は様々です。
でもZONEの中で生きて帰るためには相当な精神力と目的意識を持った自分がいないといけないのです。
8000m峰を3つ登ってきていましたが、やはりエベレストのZONEからの下山の方が大きな糧になっています。登っている時は小さく見えている山も一歩下がることによって大きく見える。
登頂は一瞬の喜びです。下山、失敗、敗北の方が長く辛いです。でもその自分とどう向き合うのか。そこに本質があるような気がします。
それだけエベレスト単独無酸素登山は大きいのです。