飼い始めの頃のエサやりだ。「このときに上下関係をしっかりと作れば、どんな訓練もうまくいく」

 女子中学生の鷹匠(たかじょう)が、タカとともに各地を飛び回っている。佐賀県武雄市の石橋美里さん(15)。笛の合図でタカを自在に操り、ハトやカラスを追い払う。害鳥に悩む九州や四国のごみ処分場や大学から、依頼が相次いでいる。
 「ピピッ」。笛で合図すると、田んぼを低空飛行していたタカが翼をはたたき、革手袋をはめた美里さんの左手へ舞い降りた。タカの名は、桃太郎。ハリスホークという種類の4歳のオスだ。「きずなみたいなのがあって、私に戻ってくるんです」
 子どものころから、大空を自由に飛び回る鳥の姿にあこがれていた。小学2年のとき、父親の秀敏さん(43)にねだってハヤブサを飼ったのが始まりで、今では家の庭にあるビニールハウスでタカとハヤブサを2羽ずつ飼う。
 鷹匠の技術は独学で身につけた。タカ狩りの伝統のある英国の文献やビデオを秀敏さんが知人から譲り受け、美里さんがほとんど1人で学んだ。一番苦労したのは、飼い始めの頃のエサやりだ。「このときに上下関係をしっかりと作れば、どんな訓練もうまくいく」。一方で、ひとりっ子の美里さんは、タカやハヤブサを弟のようにかわいがってきた。