ヒトの脳の配線は絡まりではなく論理的かつシンプルな3Dの格子状に体系化されたもの

ヒトの脳は、回路がでたらめに絡み合った(tangle)ものではなく、論理的かつシンプルな3Dの格子状に体系化されたものであることが報告された。脳内の接続部は直角に交差しており、斜めの線はなく、よく整備された道路のようであるという。

研究グループが特殊なMRIスキャンを用いてヒトおよび4種類のサルの脳を調べた結果、このような洗練された単純さが明らかにされた。新しいConnectom拡散MRIの技術では、従来のスキャナーよりも10倍詳しい画像が得られるという。今回の研究は、米国立精神衛生研究所(NIMH)の支援により実施され、米科学誌「Science(サイエンス)」3月30日号に掲載された。

研究著者である米マサチューセッツ総合病院(ボストン)のVan Wedeen博士は「単なる配線の絡み合いとは大きく異なり、脳の連結はリボン・ケーブルに近いもので、平行に走る平面シート状のニューロン線維が折り重なり、布地の縦糸と横糸のように直角に交わっていることが判明した」と説明している。また、NIMH所長のThomas Insel 博士は「この新たな観察所見は、脳を解剖学的に詳しく知る上で画期的なもので、脳の連結の個人差を明らかにし、脳障害の診断や治療に役立つ可能性がある」と付け加えている。

Wedeen氏によると、「この基本的な神経構造は霊長類に共通しているようだ」という。脳は発達するとき、水平、垂直および横方向に走る直角の経路に沿って自らを体系化し、適切な接続を見つけられるよう成長途中の神経線維を案内するほか、進化の過程で必要に応じて変化していると、著者らは考えている。同氏は「脳の配線は、家の地下室の配線のように、正しい終点に接続さえすればよいというものとは異なる。この格子は脳の言語であり、それを修正することで、配線および再配線が機能している」と説明している。

[2012年03月29日]