一日に座っている時間が長いほど、癌、糖尿病、心疾患などの慢性的な健康問題のリスクが高まる

 立ち上がって歩き回ることなく毎日数時間を過ごしている人は要注意だ。一日に座っている時間が長いほど、癌、糖尿病、心疾患などの慢性的な健康問題のリスクが高まることが新たに示唆された。
 オーストラリアおよび米カンザス州立大学の研究グループは、オフィスワーカー、トラック運転手など、日常的に長時間座って過ごす人にとってこの知見は重要なものだと述べ、慢性疾患リスクを低減するためには、座る時間を減らして運動量を増やす必要があると結論付けている。研究著者であるカンザス州立大学助教授のRichard Rosenkranz氏は、「慢性疾患に関しては、運動量が少ないよりも多いほうがよいということは確信をもっていえるが、座っている時間を減らすことにも注目する必要がある。多量の事務作業によって長時間の座業を要求されると、運動不足とエネルギー消費量の低さから健康に害が及ぶ可能性がある」と述べている。
 今回の研究では、オーストラリアのニューサウスウェールズ州に在住する45~65歳の男性6万3,000人強を対象に、慢性疾患の有無、および一日に座って過ごす時間を調査。その結果、座っている時間が1日4時間以下の人は、毎日4時間以上座って過ごす人に比べて癌、糖尿病、心疾患、高血圧などの慢性疾患を有する率が大幅に低かった。また、1日6時間以上座って過ごす人は、糖尿病リスクが有意に高かったという。
 座っている時間が長いほど、慢性疾患数も多く、被験者の運動レベル、年齢、所得、教育、身長、体重を考慮してもこの結果は変わらなかった。Rosenkranz氏は、「座っている時間が長いほど、慢性疾患リスクが着実に段階的に増大した。8時間以上座って過ごす群は明らかにリスクが最も高かった」と述べ、「単に運動が十分でないということではなく、長時間座っていること自体が問題。それに加えて、座っている時間が多いほど運動する時間が少なくなる」と付け加えている。
 座っている時間が慢性疾患の発症につながるのか、またはその逆なのかは完全にわかっていないという。今回の研究は、オンライン医学誌「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity(IJBNPA)」に2月8日掲載された。