吃音のある小児では音楽的リズムの認識が難しい可能性があることが、米ミシガン州立大学(イーストランシング)心理学教授のDevin McAuley氏らの研究で示唆された。「Brain & Language」5月号に掲載された今回の研究結果は、会話障害の原因をつきとめるきっかけとなり、有望な治療法にもつながる可能性があるという。  米国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)によれば、全小児の約5%は生涯のどこか、通常2~5歳で吃音を発症する。しかし、成人後も吃音がみられるのは全体の約1%のみだという。  研究

吃音のある小児では音楽的リズムの認識が難しい可能性があることが、米ミシガン州立大学(イーストランシング)心理学教授のDevin McAuley氏らの研究で示唆された。「Brain & Language」5月号に掲載された今回の研究結果は、会話障害の原因をつきとめるきっかけとなり、有望な治療法にもつながる可能性があるという。
 米国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)によれば、全小児の約5%は生涯のどこか、通常2~5歳で吃音を発症する。しかし、成人後も吃音がみられるのは全体の約1%のみだという。
 研究では、6~11歳の吃音のある小児17人と吃音のない小児17人がコンピュータゲームをした。このゲームでは、太鼓の奏者が標準的なリズムで2回演奏した後、2人目の奏者が加わり、同じリズムか異なるリズムで演奏した。
 小児に最後のリズムが最初の2回と同じかどうかを示させたところ、会話障害の小児は太鼓の音のパターンを区別しにくい傾向がみられ、吃音の小児の成績ははるかに低かった。聴力、言語、IQテストも実施したが、いずれによってもリズム認識の差は説明できなかった。
 McAuley氏らは、「我々の仮説では、吃音のある小児は体内でリズムをとることが難しい。リズムを維持する能力は会話の流暢さの1つの鍵であるため、これは重要だ。今回の研究結果から、音楽などの『リズム訓練』が吃音のある小児の助けになる可能性が生じた。ただし、今回の研究はリズム認識の障害が実際に吃音を引き起こすことは証明していない」という。