“政府の平成24年度予算に関する閣議決定が行われました。(12/24) 「はやぶさ-2」には、H23 年度と同程度(30億円)となったとのことです。 要求額の半分に満たないことになります。かろうじて、「はやぶさ-2」のとりやめという事態は避けられたことに、ともかくも一歩と感ずるところではあります。 お声を寄せ、行動していただいたみなさまに感謝申し上げたいと思います。 残念ながら、これは翌年度での予算確保を保証するものではなく、2014年度に打ち上げられて、 世界を主導できる活動を継続できることには直結でき

“政府の平成24年度予算に関する閣議決定が行われました。(12/24)
「はやぶさ-2」には、H23 年度と同程度(30億円)となったとのことです。
要求額の半分に満たないことになります。かろうじて、「はやぶさ-2」のとりやめという事態は避けられたことに、ともかくも一歩と感ずるところではあります。
お声を寄せ、行動していただいたみなさまに感謝申し上げたいと思います。
残念ながら、これは翌年度での予算確保を保証するものではなく、2014年度に打ち上げられて、
世界を主導できる活動を継続できることには直結できないという大きな不安を残すものです。
しかし、不安をみていても始まりません。下記に書かせていただきますが、2014年の打ち上げにむけて継続した運動にみなさまのさらなるご協力をお願いしたいところです。
国民に自信と希望を与える政策がとられているのか、率直に申して、
大いに疑問を感ずるところです。
自信と希望で飯が食えるか、との声があるかもしれません。しかし、この国が将来成長できる国であることを信じられなければ、けっして閉塞から抜け出せるはずはないのです。
それを担うはずの、今は中学、高校、大学生かもしれない次の世代がそれを実感できるのか、実感させることができるのかが問われているはずです。この国が、我々が、創造できる国であることを確信できなければ、将来はありません。
この創造できる国だと確信させる政策にためらうことは、耐え忍んでいけば先が見えるという誤解に起因するのだと思います。
地球の裏側では、たとえ後方集団入ることになろうとも、はやぶさ-2 の4倍近い経費を投じて、
科学意義、そして国民に矜持をあたえる政策をとる国(米国NASA)があるかと思えば、
主導的立場に身をおくことに自信もなく、少ない経費をなお削減し、わざわざ後方集団にさがって国民を落胆させる政策をとろうという国がある。なんとも情けないことではないでしょうか。
真の国益とは何か、次世代の国づくりをどう行うのか、それが見えないのでは、真の復興、
つまり国の将来を作ることはできないのではないか、と感じます。
「はやぶさ-2」の経費面の問題とは、予算執行を連続的には可変に運用することが難しいことに起因しています。とくに翌年度の経費が未確定では、先行して手配や契約をするリスクをメーカなりJAXAは負えせん。その分が債務になるからです。政府が、2014年度に打ち上げる方針を明確化しないと、先行手配・契約できないものが出てくるわけです。つくかつかないかわからない翌年度の予算見通しの下では、メーカもJAXAもその経営リスクを賭すわけにはいきません。
総額でつじつまを合わせればできる、というものではありません。
政府としての見解を示してほしいところです。
私は「はやぶさ-2」はすでに次世代に託していて、アドバイザという立場でしかありませんが、
将来にむけてなんとか貢献していきたいと思っています。
私の「はやぶさ」での最後の勤めとは、後続計画を建てて人材育成に道を拓くことです。
あきらめずに、「はやぶさ-2」が実施されるよう、それぞれの方々とともに、声を発し続けていかなくてはと思うものです。総理、文科、宇宙開発担当相、宇宙議連議員、宇宙戦略本部などへ、手紙やはがきでお声を出していただければと思います。ご支援をお願いしたいと思います。
(電話、FAX, Eメールは業務に支障となる可能性があるためお控えいただければと思います。)
今回の宇宙関連予算では、利用に重点をおいた方針がとられました。
しかし、利用に徹するという姿勢は、学習すればよいという日本人社会・文化のもつ根元的な欠陥につながっていると思います。とくに科学技術政策の観点では、利用することから新たな技術を拓くことは期待できません。確実な実施を目指すこと=新たな技術開発には手をつけないことだからです。
日本が閉塞する大きな理由・原因の一端がここにあります。
携帯電話を使うユーザは大幅に増えるが、そこから画期的な通信・情報技術を指向する次世代を見つけることは難しい。また、インタネットにはまり検索に没頭する世代からは、実際のモノ、イノベーティブな新技術の開発に貢献する若者は現れにくいでしょう。どんどん侮られる国になりさがっていくだけだと思うところです。
利用者であらんとすることは、新たな技術開発、新たなイノベーションを待つだけに陥る大きな危険をはらんでいると思います。
利用に主眼をおくことを原則とする国は、存在感のない、怖れるにたらない国であることを明示しているともいえるでしょう。
将来をどうするのか、それを明示できる政府こそを国民は望んでいるのだと思います。
新たな将来を拓いていける、たしかな自信を国民が感じることができなければ、
日本の明日はないと感じるところです。
継続して、ご支援をお願いしたいと思います。
川口淳一郎 (元「はやぶさ」プロジェクトマネージャ)”