病気と障害と不都合

ニコチン依存症に至るまで

1

脳には、ニコチンが結合すると快感が生じる受容体があります。α4β2ニコチン受容体といいます。

2

タバコを吸うと、ニコチンが肺から血中に入り、すぐに脳に達します。

3

ニコチンがα4β2ニコチン受容体に結合すると、快感を生じさせる物質(ドパミン)が放出されます。

4

ドパミンが放出されると快感が生じます。さらに、もう一度タバコを吸いたくなります。

5

(2)~(4)を繰り返すうちに現れる、イライラなどの離脱症状(禁断症状)を避けるため、喫煙をやめられなくなります。

ニコチン依存症

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というような説明がある
ギャンブル嗜癖とか対人関係嗜癖とかいろいろあるのだが
正確な意味で病気というべきかどうかという問題はあると思う

病気とは何かという話になると難しいが概略は
生体機能に異常があり、その機能異常の裏付けとなる構造異常が確定されているものである

生体機能を研究するのが生理学であり、その機能の裏付けとなる構造を研究するのが解剖学である
最近は細胞機能とか細胞構造とかの研究になっている

分子レベルで言えば、やはり分子機能の異常があれば分子構造に異常があるわけで、
一貫して、機能は構造に還元される。

機能異常を作り出す構造異常を確定した時に、病気だといえる

ここで言う異常という言葉は、不都合程度の意味合いである
異常と言わなくてもいいのであって、
機能を作り出す構造を確定するのが医学である
不都合の領域があれば、
病理学の対象である

嗜癖関係で、脳神経細胞の形態異常が確定されているかといえば、そんなことはない
嗜癖にかぎらず、精神病などは形態異常を確定するに至っていないので
現状では確定診断の方法がないと言って良い
ということは、そのようなものを病気と呼ぶのが、間違いといえば間違いなのである

不都合とか障害には違いないが病気というものではないかもしれない
あるいは病気かもしれない
そんな段階である

骨折しましたと言っても、交通事故で骨折したのであれば、それは病気というものではない
怪我である。外傷という
また一方で、骨粗しょう症があって、頻回に骨折するという場合には、これは病気というのがいいだろう
細胞に異常が生じて、形態異常を確定できるから

精神科領域では
アルツハイマー病などが形態異常を議論できる病気である
統合失調症や躁うつ病、うつ病などは、現在のところは見つかっていないが、
将来、より微細な領域で、携帯異常が確定できるものではないかと推定されている

急性ストレス反応やPTSDのようなものについては、形態異常があるのではなくて、
外部環境が激烈であって、それに対する反応も当然激烈であったということになる
問題は、その後に、機能異常を引き起こす形態異常を残すかどうかである

学習のひとつとして、不都合な学習が固定されてしまったものとして
不安性障害の一部をあげることが出来る
このような場合は、ここの神経細胞には異常はなく、ただその連合・結合(つまり学習)の仕方に問題がある
という解釈が成り立つ

そうすると、例えば、骨が、骨折のあとで、曲がったままくっつていて、機能障害があるというような場合に似ているとも言える
これは形態の異常と言っても、個々の細胞に内在するものではない
正常細胞同士がどのように関係するかというレベルでの問題である

そう考えると病気という概念には含まれないようにも思われる

DNAに構造異常があって機能異常を引き起こすというのはわかり易い例である
それは病気に違いない

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ニコチン依存症のどこが機能異常であり、それを裏付けする形態異常はなにか
そう考えると難しい面もある

依存性物質なのだから依存を形成して当然なのだとも言える
それが正常細胞の正常機能である
この場合、どこが病気なのだろうか
2014-04-09 12:44