“この話を最初に聞いたのがいつだったかは思い出せないが、それを聞いて最初に記憶にとどめたときのことは覚えている。つまり、聞いた話がはじめて心に深い印象となって刻みこまれ、多少なりとも「自分のもの」になったとき、という意味である。記憶に残るというのはそういうふうに、いわば、こちらのなかにぴたっと入りこむというか、入ったら二度と離れず永遠にとどまると自分でもわかっているようなかたちで入ってくるものだ。” アリステア・マクラウド「幻影」『冬の犬』新潮社

“この話を最初に聞いたのがいつだったかは思い出せないが、それを聞いて最初に記憶にとどめたときのことは覚えている。つまり、聞いた話がはじめて心に深い印象となって刻みこまれ、多少なりとも「自分のもの」になったとき、という意味である。記憶に残るというのはそういうふうに、いわば、こちらのなかにぴたっと入りこむというか、入ったら二度と離れず永遠にとどまると自分でもわかっているようなかたちで入ってくるものだ。”
アリステア・マクラウド「幻影」『冬の犬』新潮社