ぼくは何者でもない

夕日に染まる美しい落ち葉の林を歩くとき、
ぼくは、自分が何者でもないことに感謝する。
もしボクが写真家だったら、ぼくはこの美しい光景を、
どうしたらきれいな写真に収めることができるか考えるだろう。
もしボクがミュージシャンだったら、この美しい光景を
曲にすることを考えるだろう。
もしボクがビジネスマンだったら、この美しい光景で、
金儲けをすることを考えるだろう。
もしボクが哲学者だったら、この美しい光景を見て、
哲学的な思索をはじめるだろう。
しかし、ぼくは何者でもない。
だから、この美しい光景を、
単にその美しい光景、それ自体として、そのまま素直に受け入れ、
味わい、楽しむことができる。