“その中でより日本全国をまわって俺が痛切に感じたのが、どんな田舎にもある立派なホールである。  「隣の町が2000人のホール作ったそうだ。こっちも負けちゃおれねえ。3000人のホール作るべえやっ!!」  と、人口5000人しかない町や村が全く不相応なホールを作るのだ。  ところが見かけのハードばかり立派に構えたものの、肝心の中身、つまりソフトの事には全く頭が回っていないのだ。  だから客席が満員になることはまずない。  立派なホールはメンテナンスにもお金がかかるので、当然ソフト、つまり音楽・芝居・舞踏その

“その中でより日本全国をまわって俺が痛切に感じたのが、どんな田舎にもある立派なホールである。
 「隣の町が2000人のホール作ったそうだ。こっちも負けちゃおれねえ。3000人のホール作るべえやっ!!」
 と、人口5000人しかない町や村が全く不相応なホールを作るのだ。
 ところが見かけのハードばかり立派に構えたものの、肝心の中身、つまりソフトの事には全く頭が回っていないのだ。
 だから客席が満員になることはまずない。
 立派なホールはメンテナンスにもお金がかかるので、当然ソフト、つまり音楽・芝居・舞踏その他の演者を呼ぶ予算はない。なんとか呼んでもお客が前一列だけ、なんてことだと、やはり演る方もあまり気分の良いものではない。二度と来ない。
 また演者側から企画しようにも、会場は立派なので都会とあまり変わらないホール使用料を取ろうとする。しかし客が入る見込みもないホールでやってもメリットはないのだ。
 かくして月一回程度、町主催の「カラオケ大会」だけであとはスケジュールがらがら。そのまま錆びれていくのだ。
 こういう光景を結構目の当たりに見る機会が多かったので、正直、
 「日本はまだまだ文化レベルが低いんだな・・・」
 と一抹の寂しさとともに思わざるを得なかった。
 「うちの町には古くて小さな施設しかないけれど、その分ホールを作るお金を演者にまわして、毎月様々な催し物を行います!」
 こんな町がひとつでもまともに出てこないものだろうか。
 町内の文化レベルも上がるし、演者もおそらく喜んで来るだろう。”