“ ドラフトというデザイン集団を率いる宮田識さんという人がいまして、デザインの現場のインタビューをしにいったんです。怖い方だと聞いていましたので、びくびくしながら行きました。職場の状態をみると、働き方の工夫が感じられたので、それがどういうところからきているのかという、すごく抽象的な質問を投げかけてみました。軽い気持ちの質問でしたので答えはあまり期待してなかったのですが、意外にもビシっと返ってきて、「違和感を手離さないことです」と言われたんです。 私は、それを聞いて、ずっと頭の中に引っかかっていた最後のワ

ドラフトというデザイン集団を率いる宮田識さんという人がいまして、デザインの現場のインタビューをしにいったんです。怖い方だと聞いていましたので、びくびくしながら行きました。職場の状態をみると、働き方の工夫が感じられたので、それがどういうところからきているのかという、すごく抽象的な質問を投げかけてみました。軽い気持ちの質問でしたので答えはあまり期待してなかったのですが、意外にもビシっと返ってきて、「違和感を手離さないことです」と言われたんです。
私は、それを聞いて、ずっと頭の中に引っかかっていた最後のワンピースをゲットしたような気分になり、さらに掘り下げて聞いてみました。それがどういうことかといいますと、日常生活を送っていて、たとえば、電車の中のつり革が、おでこにぶつかるなあとか、自動改札を通るときに思った疑問とか、なんだっていいんですけど、こういうもんだと流さずに、ずっと持っておくんだということです。それらのことは、そのときに解決できなくても、10年くらい経ったらいつの間にか解決できていたり、解決できる条件が整っていたりするものですと言ってくれたんですよ。ということは、何をどうするかということ以前に、何をどう感じているかということだし、しかも、それを流さないという1点なんだなあということに気づかされました。それが、一連の取材活動における最大の収穫でした。
西村佳哲×永江朗 対談 「自分を生かす働き方」