精神医学症状と精神科治療法原論

精神医学症状は行動、身体症状、精神症状の三層に分類される

生物の進化の歴史で一番最初にできたものは運動器官であるから行動の障害が最も原始的である

次に自律神経が形成されるのであるから、自律神経症状が次の症状である

最高次の症状は精神の症状である

何かを悩むとき、そしてそれを解消するとき、どのような経路を使って悩み、解消しているか観察すれば良い
脳のどのレベルで活動しているかがよく分かる

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たとえばブロクとかフェイスブックなどでその人の個人的な世界を知ることができる
脳のどのあたりを使っている人であるのか、見当がつく

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しかしながら、そうは言っても、精神医学は複雑である

めまいがすると主訴を訴えたとして
そのめまいを詳細に聞き取りしていくと、そのひと独自の「めまい」であることがしばしばなのである
「頭が鳴っている」「頭の中で円盤が回る」などもまた「めまい」と表現される

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日常の言語システム全体からはみ出ている部分が精神症状なのである
日常の言語システムで正確に言えるものは正確に言えば精神症状ではない

それは身体症状であり、自律神経症状であり、脳神経症状である

「語りえぬもの」が精神症状なのであるから
「語り得るもの」に還元することは本質的に治療的行為である

しかしまた原理的な罠がある
外側を内側にしたとして、常にその外側に外側があり、「語りえぬ無限の空間」が広がっている

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失恋をしたり、肉親と死別したり、なにか大切な物を失うとき、人は喪失体験に悩む
それは普段の生活での悲しみとは少し違う、もう少し重いものであるが、
しかしそれは「語り得る」ものである

その外側にある精神病的な悲哀の感情については「語りえぬもの」である
語ることができる、つまり適切な言葉を発見した時に、病は終わるのだ

だから病者と治療者は創発的な言葉を求めて共同作業をするのである

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しかしまた事情を複雑にしているのは、
精神病そのものが重大な喪失体験であることである

それまで予定されていた未来を失うことになるかもしれない
その喪失は大きい
その喪失を悲しむプロセスも精神病のプロセスに重なることになる

この大きな不安を解消し、悩みを正味の悩みに縮小すること
これが大切な治療となる
その部分は精神病ではないのだ
それは語り得る苦しみであるから普通の言葉で解消できる

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どう対処すればよいかといえば、
まず喪失のプロセスを共に歩むことである
そして語りえぬものが残るのだからそれを語り得るものにするよう努力することである

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薬剤はどのように効いているのか、効果が難しい
あえて言えば、電化製品が故障した時にいったんプラグを抜く、そのことに例えられるかもしれない
そしてただそれだけのものである