トヨタと日産の違い

[豊田市(愛知県)/東京 12日 ロイター] – 2014年春季労使交渉(春闘)で、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)は12日、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分を月2700円とする回答を労働組合側に行ったと発表した。
ベア実施は08年以来、6年ぶり。年間一時金は組合員平均244万円と満額回答した。また、日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)はベアに相当する賃金引き上げ分と年間一時金について、いずれも労働組合の要求に対して満額回答した。
トヨタの回答は、現在の交渉方式になった02年以降では08年の1000円を大きく上回る水準となった。ただ労働組合側が求めていた4000円は下回った。14年3月期は過去最高の営業利益となる見通しだが、円安による恩恵が大きいとして継続的に人件費が増えるベアには慎重な姿勢を崩さず、2700円にとどめた。一般期間従業員の日給は200円引き上げる。
トヨタの宮崎直樹専務役員は豊田市内で記者団に対し、春闘での回答に関し「日本経済の好循環に向けて、個人消費を活性化させることが重要。トヨタ労使としてもその役割を果たす必要がある」と話した。
また仕入先や販売店をはじめ「世間の皆様から、私どもの賃金決定がどのように受け止められるかということについて、十分考慮しなければならない」と述べ、「熟慮に熟慮を重ね」判断したと述べた。
日産自動車は成果主義による独自の賃金体系を取り入れている。組合側は賃金支給原資の増額分にあたる「賃金改定原資」として月9500円を要求し、このうちベア相当分は3500円。一時金は5.6カ月分(1人平均210万2000円)を求めていた。賃上げと年間一時金いずれも満額回答するのは08年以来、6年ぶり。
三菱自動車(7211.T: 株価, ニュース, レポート)は要求の月3500円には届かなかったが、2000円で妥結。一時金は5.0カ月分と満額回答した。

ーーー
「日本経済の好循環に向けて、個人消費を活性化させることが重要。トヨタ労使としてもその役割を果たす必要がある」
とさらりと言うあたりが大人である。