摂食障害、先進国、女性

進化論関係の人はいつでもなにか途方もなく単純な猿山還元方式を
語っていることが多いので
それほど気にする必要はないのだけれども
摂食障害が豊かな先進国で多く見られ、しかも男性に少なく女性に圧倒的に多いのは
なぜだろうと問いかけている。

なぜ女性に多いのかに関して。
男性では摂食障害に相当するものとして
強迫性障害や対人関係障害があるのかもしれないが
よく分かっていない。
しかし何かの不都合に対応する形式が男女が大きく違うということは分かりやすい。
もう一つ、女性は出産する、摂食障害では多くは月経機能に不具合が現れる、
そのあたりの連想で、結局出産を抑制しているのではないかと推定される。
出産までたどり着けばあとは摂食障害という悩み方をしないのではないかと推定している。
もちろん、女性として魅力的であることが平均体重以下であることと考えられるとすれば
約半数の女性は自信を失わなければならないはずで
なかなか過酷な環境である
しかもそれは男性からの選択要求ではなくて
女性たちが自分たちの中で決定した憲法のようなものらしくて
女性集団内部でのピラミッド構造と関係しているのではないかということになる

先進国に多いこと、しかも中流から上の階層に多く見られることを考えて、
大家族制から核家族性へ、さらには個人主義の徹底への
流れを強調する。
ここで猿山の猿たちが登場して、群れにボスは一人でいいし、
女ボスも一人でいい、それ以外の全員は、女王蜂に仕える働き蜂のように、
女王の出産に奉仕して当然だと考える。
女性の出産可能年齢が延長していくと、家庭の中に出産可能女性が増えてしまい
女性の中でのボスが誰なのか不安定になる
そこで(暴力的ではない)文化的な圧力で、月経を停止させてしまい、
出産可能性を抑制する。そのために摂食障害は役に立っているという
回りくどい話なのである。
支配的でボスで在り続けたいかつ女性で在り続けたい母親との関係の中で
抑圧されるとする図式で
しかも母親は分かりにくいことに過保護で支配的であるがそれを
あからさまに表現せず、隠蔽された形で実現しているので
反抗するとしてもあからさまにはできなくなり
何かするとしても娘の側の理由なき反抗の形になってしまう
そんな中で摂食障害は起こるのだろう
というような話の流れなのであるが
どんなものだろう

まず摂食障害というくくり方があまりにも雑駁なのだろうと思う
いろいろなものを含みすぎていて
例えて言えば「頭痛」「腹痛」に近い感じだと思う
とりあえず下位分類するとして、
拒食と過食でも症状はもちろん、背景も随分違う
強制的排泄を伴えば過食も拒食と同じ結果になるとか、また複雑な要素もある
ふつうにシゾフレニーというタイプもあるし性格障害のタイプもあり
強迫性のタイプもありで
そうしたタイプを取り除いたあとで残るような
純粋拒食とか強制排泄過剰型純粋過食とか強制排泄弱力型純粋過食、
無強制排泄型過食などと分けられる 

猿山で親による子殺しが行われることがあり
たとえば、新しいボスになった時に、メスの育てていた仔猿を殺してしまうことがある
そのようなことが発想の根本にはあるらしいのだけれども
あまり説得力はないような気がする 

しかし社会構造の変化が
家族、血縁、近所の人からの、個人への保護機能を弱めているという話は
多分そうなのだろうと思う
もともとが西洋的な習慣なのだと思うが
東南アジアの農耕民族の文化と衝突している感じはする
だとすれば、欧米の人間が摂食障害で苦しむ場合に比較すると
東南アジアの人が摂食障害に苦しむ場合に
何か二重に苦しい感じはする

上流家庭になるほど
子孫がある程度確保されていれば
あとは家を守っていたほうが良い暮らしを維持するには有利だとの考えがある
男性がいたらその人が家庭を持って子孫を維持すればいいのであって
女性は子孫を生む必要はないと考えても
辻褄は合うのかもしれない
うっかり子孫など持ったら貧乏になり不幸になりそうなのだ

現在の日本は多分全体がそんな感じで
出産は後回しなのだろう
出生率の低下はもっと大規模な原因があると思うので
この傾向では全部は説明できないだろうと思う

父性の不在ということも話題になる
父親の存在の薄いことと
何か関係があるだろうかと問いかける

他の哺乳類と違ってヒトの場合には
父親不在は娘の性的成熟を促進し性活動を促進するのだそうだ
父親がいると娘の性的成長は延期される
そしてさらに父親的母親という権力的なものが娘の性的成長を延期させる
そのようにちょっとずつ都合よく論点をずらしていくと
話はつながらないでもない

娘が子育てをするということは没落の危険を内包している
それよりも現成維持でいいではないか
という選択もあるのだろう

娘の不妊はそれ自体問題ではあるが、
遺伝子集団としてみた場合には
娘には集団遺伝子への利他的奉仕者となってほしいとする欲望も合理的なのだろう

娘は不妊の働き蜂になること

しかしながらそのようなスペキュレーションとは別に、
現実には娘は食行動を根拠として、しばしば家族を支配する

いずれにしても no evidence である