“ 自分の感情をきちんと把握できたら、次は「伝え方」の問題を解決しましょう。一般的に、プラスの感情よりもマイナスの感情を相手に伝えることは難しいものです。社内や取引先とのやり取りの中で、マイナスの意思表示が行えず、「イヤだな」と思いながらも我慢したり、笑ってごまかしたりすることがあるのではないでしょうか。 しかし、つねにそのような態度をとっていると、相手は、「受け入れてもらえた」などと勘違いを起こします。一人になってからトイレで、「どれだけ鈍感な人なんだ!」と腹を立てても、なんの意味もありません。 こ

自分の感情をきちんと把握できたら、次は「伝え方」の問題を解決しましょう。一般的に、プラスの感情よりもマイナスの感情を相手に伝えることは難しいものです。社内や取引先とのやり取りの中で、マイナスの意思表示が行えず、「イヤだな」と思いながらも我慢したり、笑ってごまかしたりすることがあるのではないでしょうか。
しかし、つねにそのような態度をとっていると、相手は、「受け入れてもらえた」などと勘違いを起こします。一人になってからトイレで、「どれだけ鈍感な人なんだ!」と腹を立てても、なんの意味もありません。
こんなことをできるだけ避けるためのポイントは、「いやだ」「つらい」「不満だ」「悲しい」「傷ついた」などの感情に気がついたら、できるだけ、その気持ちが小さい段階で相手に伝えることなのです。
「アサーション」という、コミュニケーションの手法があります。アサーションは、一方的に自分の意見を押し付けるのではなく、かといってひたすら我慢するのでもなく、相手と自分を尊重して適切な自己主張をしていくことです。アサーションを一気に習得するのは難しいですが、ここではその初歩的な方法をお伝えしましょう。
まず何よりも、嫌な気持ちはマイルドなうちに伝えること。「なんとなく嫌だ」「少し気になる」「少し辛い」「ちょっと好きじゃない」というような段階、カレーで言ってみれば「甘口」です。まだ気持ちにゆとりがあるので、口調や表情は穏やかであり、適切な表現、言葉を選ぶことができます。
ところが、多くの人は、「このくらいのことは言わなくてもいいだろう」と放っておいたり、「ここはちょっと我慢しておこう」と気持ちを押し込めてしまいます。これだと何も意思表示をしていないことになるので、相手にはあなたの気持ちはまったく伝わりません。
ことは次第に、「腹が立つ」「しんどい」「理不尽だ」といったカレーの中辛状態になっていきます。こうなると、感情が先行してしまうため、自分の気持ちを穏やかに伝えることが難しくなります。
さらに我慢をし続けると、「許せない!」「大嫌い!」「顔も見たくない!」といったカレーの激辛状態になります。この時点で冷静に気持ちを伝えることは、ほぼ不可能です。ゲリラ豪雨のように一気に感情があふれ出し、相手に襲いかかるようなもの。関係性にもヒビが入って、ますます苦しい気持ちに追い込まれてしまうでしょう。
ですので、怒りや嫌だという感情は、できるだけ小さく、マイルドなうちに伝えることが大切なのです。
「負の感情」にはマイルドなうちに対処せよ