うつ病の行動活性化療法をはじめよう セルフヘルプ・マニュアル

うつ病の行動活性化療法をはじめよう   セルフヘルプ・マニュアル
  うつ病は多くの人にとって悪循環を引き起こす問題です。あなたは今回初めてうつ病の経験をするのかもしれませんし、何年間かすでに経験してきたのかもしれません。うつ病は、あなたを病気であるかのように感じさせます。うつ病の症状は、精神的にも肉体的にも動きを鈍くし、疲れやすくさせ、罪悪感や自己非難を感じさせ、憂うつな気分にさせます。落ち込みをさらに感じるようになるにつれて、活動量も次第に低下し そして活動量が低下したことを自分自身で責めるようになります。自分でもやる気がなく「なまけ者」だと感じるかもしれません。さらに何かをするのが困難になると、ますます落ち込んでしまうようになります。
  うつ病は「こころの風邪」と言われてきましたが、うつ病はあなたの個人的な欠陥や精神疾患のせいで起こっているわけではないことを理解することが大切です。うつ病は、あなたの生活の中で何かを変化させる必要があるという合図であることが多いのです。たいていの人は、うつ病のきっかけとなった出来事について気づいています。よく見られる出来事としては、最愛の人の死、夢が破れること、目標が達成できないこと、乗り越えられない日々の葛藤、対人関係の問題などがあります。人はうつ病になった時、気分がよくなるように生活状況を変化させるのではなく、活動することをやめたり、引きこもったりする傾向があります。すると、だんだんとうつ病は悪化し 状況的な問題のみでなく、うつ病自体が問題となっていきます。多くの人は、この時点でセラピ一に来るのです。

  問題に対処しましょう
  これまでにうつ病に対するさまざまな治療法が開発されてきています。ひとつつの効果的な治療法として、行動活性化療法と呼ばれるものがあります。
セラピストと一緒に、あなたが生産的な活動や気分の改善をもたらすような活動を行うことによって、うつ病の悪循環から抜け出すための作業に取り組むことになります。
ただ、どんなものであっても、単に活動をするというのは難しいでしょう。そこで、セラピストは、あなたのうつ病に関係する可能性のある、以下のことに気づくようにサポートします。それは、
①うつ病になったためにやらなくなっているが、もう一度やりたいと思っている生活上の行動、
②あなたが世間やその他のあなたを取り巻く環境から引きこもるために用いた行動、
③もっと生産的に生活するためにあなたが変えたいと考えている主な生活状況、
です。セラピストは、うつ病にうまく対処し、もっと満足のいく生活を送るのに役立つだろうと2人で一緒に判断した具体的な目標に向かって、あなたが活動できるように方向づけてくれるでしょう。あなたが落ち込みを感じはじめてから続いている引きこもりや活動量の低下をまず止めることなしに、落ち込みにつながる生活状況を変えることはできないかもしれません。しかし あなたは方向づけられた活動を通してうつ病の悪循環を壊すことができるでしょう。
  活動とは、俗に言う「ただやってみる」ということ以上のものです。人が憂うつな気分になった時、生活が停滞しないように順調に暮らし続けることは、不可能ではないとしても、難しいと感じます。だから、セラピストのような人のコーチやガイドがあるのは役に立つのです。あなた自身やあなたの生活に有意義な活動は、非常に重要です。例えば、ある人はきれいな生活環境を好みますが、抑うつ気分のせいで皿洗いができないと感じているかもしれません。もし彼がどのような気分にも左右されずに皿洗いをしたならば、憂うつ気分や悲しみを感じるかもしれませんが、彼の家がきれいになったことでほんのわずかでも気分が改善するかもしれません。同様に、理不尽なことを言ってくる上司のもとで働いている女性は、引いてしまい、自分の立場を主張することができないかもしれません。上司に自分のことを主張することは、そのこと自体によって利益を受ける活動です。行動活性化療法での活動にはさまざまなものがあり、セラピストは、うつ病を軽減させたり、生活に対するコントロール感を高めたりするような、よい行動を見つけるための手助けをしてくれるでしょう。  憂うつな気分にもかかわらず活動をすることの利点は明らかです。
 1.方向づけられた活動は気分を改善することができます。うつ病にもかかわらず自分自身で活動的になることは、あなたの生活にコントロール感を与えることができます。たとえはじめは楽しいことはないと思っていても、あなたがいったん活動をすれば、いくつかの活動は楽しいとわかるでしょう。楽しくない活動でさえ、やりがいのあることをやり終えたような感覚を得ることができます。
 2.方向づけられた活動によって、疲労の悪循環から抜け出すことができます。うつ気分を感じている時は、だるさや疲労を感じるものです。このことは世の中から引きこもろうとする方法のひとつになります。逆説的に言うと、べッドに横になって寝すぎることは、結果としてより疲労を感じさせることが多いのです。とても疲れていると感じている時できえ、方向づげられた活動は、あなたをより活気づけたりリフレッシュさせたりするでしょう。落ち込んでいる時と他の理由で疲労している時では、反対の効果が生じます。例えば、落ち込んでいて疲労感も抱いている時には、もし家事のような活動をすれば、最後には達成感を得るようになり、他の活動をするエネルギーもわいてくるでしょう。一方で、もし抑うつ気分はないけれども、長時間働いていて休憩を必要としている時に家事などをしたら、あなたはもっと疲れてしまうかもしれません。なぜなら、休憩が必要だと体が訴えているからです。あなだが落ち込んでいる時には、体が休憩することが必要だと訴えたとしても、あなたは活動的になる必要があります。
 3.方向づけられた活動は、あなたをやる気にさせてくれます。うつ病を伴う多くの人々は、「やる気さえ出てくれば問題ない」と信じていますが、うつ病のさまざまな症状は、しばしばやる気を出すのを邪魔します。そのために、もしやる気になるのを待ったとしても無駄足を踏むことになってしまいます。皮肉なことに、やる気がなくても活動に従事することで、やる気が出てくるのです。私たちばこれを「外側から内側を変える」と呼んでいます。別の言い方をすれば、何かをする前に、何かをしたい気分になるのを待つのではなく、あなたがそれに自ら取り組んでいるからこそ、活動することになるのです。
   落ち込んでいる時に活動することは簡単なことではありません。あなたがうまく時間をやりくりしたり、普段なら楽しめていた活動をしたりすることは難しいかもしれまぜん。落ち込んでいる時は、活動するのがあまりに難しすきて、最も基大的なことでさえ非常に難しく感じてしまいます。あなたのセラビストはこのことを理解しており、活動的になるのを邪魔するものに気づくのを助けたり、それらの障害物を克服したりできるように、一緒に取り組んでくれるでしょう。
 治療では、生産的な活動を妨げるような日常生活の問題を克服できるようにあなたを支接します。あなたは、豊かなタベストリ一のように、自分の生活を観察したり、毎日の活動を見たりする方法についで学びます。あなたは、ある気分が特定の活動とどのように関連しているかを学び、そして、気持ちが楽になるような活動の増やし方を学ぶでしょう。生活の質の改善に向けた活動は、楽しみをもたらすためか、もしくは単に生産的だと感じたりコントロール感が得られたりするために、落ち込みを軽減させろでしょう。セラピストは、活動計画の立て方、生産的な活動を抑制するトラップを理解する方法、そして、日常習慣に新しい活動を組み込む方法について、あなたに教えます。そして、これらの新しい活動は、生活の質を改善するような新しい習慣となるでしょう。セラビストは、このプロセスを支援するようなスケジュール表や活動記録表の使用法を指導します。あなたは、そのセッションで話し合った課題を次回のセッションまで続けるように求められます。あなだとセラビストは、より活動的になるためのプロセスに役立つ課題を決めます。セラピストぱあなたのコーチになるでしょう。あなたは、うつ病に対処するために活動的になることで、世の中に対してより効果的に関わることができるようになること、また、あなたの生活が再びうまく進みはじめたと感じていることにも気づくかもしれまぜん。はじめのステップを実施し、セラピーに来ることは、あなたにとって最初の方向づけられた活動でした。さらなるステップは、あなたが想像しているよりも簡単かもしれません。
2014-12-13 02:58