自公推薦の憲法学者、安保法案は「憲法違反」 衆院憲法審査会は4日、立憲主義などをテーマに、各党が推薦した3人の憲法学者を招いて参考人質疑を行った。  自民、公明両党などが推薦した長谷部恭男・早大教授は、集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法案について、「憲法違反。従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と指摘した。民主党の中川正春氏が見解を聞いたのに対して答えた。  与党推薦の参考人が安保関連法案を「憲法違反」と指摘したことについて、自民党内では波紋が広がった。

自公推薦の憲法学者、安保法案は「憲法違反」
衆院憲法審査会は4日、立憲主義などをテーマに、各党が推薦した3人の憲法学者を招いて参考人質疑を行った。
 自民、公明両党などが推薦した長谷部恭男・早大教授は、集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法案について、「憲法違反。従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と指摘した。民主党の中川正春氏が見解を聞いたのに対して答えた。
 与党推薦の参考人が安保関連法案を「憲法違反」と指摘したことについて、自民党内では波紋が広がった。佐藤勉国会対策委員長は審査会終了後、同党の船田元・審査会筆頭幹事に会い、「参考人の人選には十分配慮してほしい」と語った。自民党幹部は4日夜、「国会で今、何を議論しているのか、審査会の自民党議員は全く分かっていない」と激怒した。審査会メンバーは「中川氏の質問は予想を超えていた」と釈明した。
 一方、民主党の枝野幹事長は読売新聞の取材に対し、「いかにでっち上げの法案か、自ら認めているようなものだ」と政府・与党を批判した。
2015年06月04日 22時30分 Copyright [コピーライト] The Yomiuri Shimbun

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衆院審査会:「安保法制は憲法違反」参考人全員が批判
毎日新聞 2015年06月04日 21時34分(最終更新 06月04日 23時19分)
 衆院憲法審査会は4日、与野党が推薦した憲法学者3人を招いて参考人質疑を行った。この日は立憲主義などをテーマに議論する予定だったが、民主党の中川正春元文部科学相が、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案について質問したのに対し、全員が「憲法9条違反」と明言した。政府・与党は今国会で、関連法案の必要性を丁寧に説明して国民の理解を得ようとしているが、専門家から批判的な見解が示されたことで、今後の審議への影響を懸念する声も出ている。
 ◇「解釈、整合性確保」官房長官
 参考人は、自民党、公明党、次世代の党推薦の長谷部恭男氏、民主党推薦の小林節氏、維新の党推薦の笹田栄司氏。自民党の委員に続いて質問に立った中川氏は「先生方が裁判官なら安保法制をどう判断するか」と各氏の見解を聞いた。
 長谷部氏は集団的自衛権の行使容認について「憲法違反だ。従来の政府見解の基本的枠組みでは説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがす」と指摘。「外国軍隊の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」と述べた。
 小林氏も「憲法9条は海外で軍事活動する法的資格を与えていない。仲間の国を助けるために海外に戦争に行くのは憲法違反だ」と批判した。政府が集団的自衛権の行使例として想定するホルムズ海峡での機雷掃海や、朝鮮半島争乱の場合に日本人を輸送する米艦船への援護も「個別的自衛権で説明がつく」との見解を示した。
 笹田氏は従来の安保法制を「内閣法制局と自民党が(憲法との整合性を)ガラス細工のようにぎりぎりで保ってきた。しかし今回、踏み越えてしまった」と述べた。
 これに対し、安保法制に関する与党協議会で公明党の責任者だった北側一雄副代表は「9条でどこまで自衛の措置が許されるか、(憲法解釈を変更した)昨年7月の閣議決定に至るまで突き詰めて議論した」と反論。憲法上許される自衛の措置には集団的自衛権も一部含まれるという見解を示して、違憲ではないと強調した。
 これに関連し、菅義偉官房長官は4日の記者会見で「憲法解釈として法的安定性や論理的整合性が確保されている」としたうえで、「まったく違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」と述べた。
 しかし、3人の参考人がそろって安保法制を批判したことに、自民党国対幹部は「自分たちが呼んだ参考人が違憲と言ったのだから、今後の審議に影響はある」と認めた。一方、民主党の長妻昭代表代行は会見で「本日の憲法審査会での議論を踏まえて質疑する」と述べ、5日に再開する衆院平和安全法制特別委員会で政府を追及する考えを示した。【田中裕之、高橋克哉】
 長谷部恭男氏(はせべ・やすお)早稲田大大学院法務研究科教授。東京大卒。著書に「憲法と平和を問いなおす」など。
 小林節氏(こばやし・せつ)慶応大名誉教授。慶応大卒。著書に「白熱講義! 集団的自衛権」「憲法改正の覚悟はあるか」など。
 笹田栄司氏(ささだ・えいじ)早稲田大政治経済学術院教授。九州大卒。著書に「司法の変容と憲法」「実効的基本権保障論」など。

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与党参考人が安保法案「違憲」 “人選ミス”で異例の事態 野党「痛快」 憲法審査会
http://www.sankei.com/politics/news/150604/plt1506040018-n1.html
 衆院憲法審査会は4日、憲法学の専門家3人を招いて参考人質疑を行った。憲法解釈変更による集団的自衛権の行使を含む新たな安全保障関連法案について、与党が推薦した参考人をはじめ全員が「憲法違反だ」と批判した。与党が呼んだ参考人が政府の法案を否定するという異例の事態となり、“人選ミス”で墓穴を掘った。
 自民党や公明党などが推薦した早稲田大の長谷部恭男教授は審査会で、安保法案について「憲法違反だ。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」と明言した。
 これに対し、法案作りに関わった公明党の北側一雄副代表は「憲法9条の下でどこまで自衛措置が許されるのか突き詰めて議論した」と理解を求めた。だが、長谷部氏は「どこまで武力行使が新たに許容されるのかはっきりしていない」と批判を続けた。
 関係者によると、長谷部氏の人選は自民党が衆院法制局に一任したという。ただ、長谷部氏は安保関連法案に反対する有識者の団体で活動しているだけに調整ミスは明らか。「長谷部氏でゴーサインを出した党の責任だ。明らかな人選ミスだ」(自民党幹部)との批判が高まっている。
 審査会幹事の船田元(はじめ)自民党憲法改正推進本部長は、長谷部氏の発言について、記者団に「ちょっと予想を超えた」と釈明。船田氏はその後、佐藤勉国対委員長から「自分たちが呼んだ参考人の発言だから影響は大きい。安保法制の議論に十分配慮してほしい」と注意を受けた。
 一方、野党は衆院平和安全法制特別
委員会で「政府・与党の矛盾」を追及する構えだ。審査会で長谷部氏の発言を引き出した民主党の中川正春元文部科学相は党代議士会で「憲法審査会で久しぶりに痛快な思いをした」と満足げに語った。
[産経ニュース 2015/6/4]