採録
一番好きなのは何と言っても「紙の辞書」です。
頁を開けば目的の単語以外にもたくさんの語が
目に入ります。そうやって潜在的に見たという
経験がいつか生きてくると私は思っているのです。
言語学者の外山滋比古氏によると、辞書の編纂者たちは
やさしい単語ほど力を入れて執筆しているのだそうです。
なぜならば、「基本語だから、それがはっきりしなければ、
ことばは本当にはわからない」からだそうです。
だからこそ、辞書を読む人ほど
「(語義の中に)何かほかに新しいことが
あるのではないかと当たってみる」
「目ざす語について書いてあることを余さず読む。」
「よく知っているつもりの語でも、これは何か
ありそうだと感じたら、ひいて読んでみる。」
という特徴があると外山氏は記しています。
こうした地道な作業が、結局は語彙力アップの
近道だと私は感じています。
(「英語辞書の使いかた」外山滋比古著、岩波ジュニア新書
1983年)