不眠症に対する認知行動療法の普及 Disseminating Cognitive-Behavioral Therapy for Insomnia 電話を介して提供した本治療は患者教育用冊子よりも効果が高い。 慢性不眠症は頻度が高く、健康への有害な影響、生産性の低下、生活の質(QOL)の低下、そして精神疾患および物質使用障害のリスク上昇と関連している。不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は有効であるが、一定期間に集中的に受ける必要があり、費用がかかる。本論文の著者Arnedtらは、慢性不眠症患者30

不眠症に対する認知行動療法の普及
Disseminating Cognitive-Behavioral Therapy for Insomnia
電話を介して提供した本治療は患者教育用冊子よりも効果が高い。
慢性不眠症は頻度が高く、健康への有害な影響、生産性の低下、生活の質(QOL)の低下、そして精神疾患および物質使用障害のリスク上昇と関連している。不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は有効であるが、一定期間に集中的に受ける必要があり、費用がかかる。本論文の著者Arnedtらは、慢性不眠症患者30例(男性3例;年齢範囲 18~65歳;睡眠薬を処方されている患者なし)を対象とする無作為化対照試験において、電話を通じて提供するCBT-Iの効率と効果を検討した。対照条件には米国睡眠医学会(AASM)の患者教育用冊子「Cognitive-Behavioral Therapy for Insomnia」が使用された。
コントロール不良の第I軸精神疾患または内科的疾患を有する患者は対象から除外された。電話を介したCBT-Iでは、経験豊富な1人のセラピストが1回15~60分間のセッションを週1回、合計4~8回行った。対照群の参加者には患者教育用冊子が郵送され、セラピストが15~20分間の電話セッションを1回行い、個々の患者に合わせた助言は行わず冊子の内容を説明した。
治療終了時点と12週目の追跡時点において、睡眠/覚醒日誌に基づく睡眠効率、総睡眠時間、日中の機能の有意な改善が両群で認められた。CBT-I群では対照群に比べ、12週目の寛解率が高く(80% 対 42%;治療必要例数[NNT] 2.6)、睡眠に対する非機能的な信念(dysfunctional beliefs)が大きく減少した。
コメント
本研究ではコントロール不良の精神疾患を有する患者が除外されている。そのため、精神科医にとって、今回の結果がもっとも関係するのは他の精神症状が改善されているにもかかわらず不眠症が持続している患者である。論説の著者Sivertsenらが指摘しているように、患者教育用冊子に対する治療反応性が驚くほど良好であったことから、慢性不眠症は“段階的治療”モデル、すなわち患者向け冊子を用いた説明(レビュー)またはオンライン介入から開始し、電話を利用した治療へと進み、さらに必要に応じて対面治療を提供するという段階的なアプローチによって治る可能性がある。
—Deborah Cowley, MD
掲載:NEJM Journal Watch Psychiatry April 1, 2013