しっかりとした見通しを持った誰かがそばにいてくれたほうがよい

そうはいうものの
それほど簡単に割り切れるものではない
治療について言えば
薬を飲んだ上で
ただしっかりと見通しを持った人がそばに寄り添っているだけで
充分な場合が多い
それは育児の場合に似ている
特殊な子供を育てる場合ならば別であるが
親と似た程度の子供を育てるつもりでいる限り
親は食事を配慮して
あとはただそばにいるだけで
充分であると私は思っている
子供は自然に大人になるのだし
病気の人は自然に治る部分がある

ひよこは自然ににわとりになるのであって

にわとりになる秘訣があるわけではない

自然には治らないものも治してしまうのが薬剤の効果である
心理療法で、自然には治らないものを治してしまうような試みは
弊害も多いものと承知したほうがいい
カウンセリングがマイルドなものであるという見解は幻想である

しかしながら
子供が大人になるのには大人の関わりが必要であるように
病気の人が治癒する場合にも
一緒に不安になってしまう人に頼るよりは
しっかりとした見通しを持った誰かがいてくれたほうがよいと思う
かつてはそれは宗教的な枠組みの内部での事だっただろうと思う
一部分は家族やその周辺の集団の役割だっただろうと思う
現代の日本では、そのように、確信を持って見守る、という役割の人が
少なくなってしまったので
怪しい宗教とか怪しい心理療法とかが
その部分の役割を担っているのだろうと思う