徒然草第229段:よき細工は、少し鈍き刀を使ふと言ふ。妙観(みょうかん)が刀はいたく立たず。 ーーーーー 小さな器具を巧みに製作する職人は、少し切れ味の鈍い刃物を使う。彫刻の名人の妙観の小刀はまるで切れないという。

徒然草第229段:よき細工は、少し鈍き刀を使ふと言ふ。妙観(みょうかん)が刀はいたく立たず。  ーーーーー 小さな器具を巧みに製作する職人は、少し切れ味の鈍い刃物を使う。彫刻の名人の妙観の小刀はまるで切れないという。


徒然草第233段:万の咎(とが)あらじと思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく、言葉少からんには如かじ。男女・老少、皆、さる人こそよけれども、殊に、若く、かたちよき人の、言うるはしきは、忘れ難く、思ひつかるるものなり。 万の咎は、馴れたるさまに上手めき、所得たる気色して、人をないがしろにするにあり。 ーーーーー あらゆる事で他人の非難を受けないようにしようと思うならば、何事も実直にして、人を区別せずに礼儀正しく振る舞い、多くを語り過ぎない事が大切だ。老若男女に関係なくそれが理想ではある

徒然草第233段:万の咎(とが)あらじと思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく、言葉少からんには如かじ。男女・老少、皆、さる人こそよけれども、殊に、若く、かたちよき人の、言うるはしきは、忘れ難く、思ひつか … Read more 徒然草第233段:万の咎(とが)あらじと思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく、言葉少からんには如かじ。男女・老少、皆、さる人こそよけれども、殊に、若く、かたちよき人の、言うるはしきは、忘れ難く、思ひつかるるものなり。 万の咎は、馴れたるさまに上手めき、所得たる気色して、人をないがしろにするにあり。 ーーーーー あらゆる事で他人の非難を受けないようにしようと思うならば、何事も実直にして、人を区別せずに礼儀正しく振る舞い、多くを語り過ぎない事が大切だ。老若男女に関係なくそれが理想ではある


(琉球新報)<社説>農相効力停止決定 まるで中世の専制国家 民意無視する政府の野蛮

(琉球新報)<社説>農相効力停止決定 まるで中世の専制国家 民意無視する政府の野蛮2015年3月31日  いったい今はいつの時代なのか。歴然と民意を踏みにじり恬(てん)として恥じぬ政府の姿は、中世の専制国家もかくや、と思 … Read more (琉球新報)<社説>農相効力停止決定 まるで中世の専制国家 民意無視する政府の野蛮


第241段:望月の円か(まどか)なる事は、暫くも住せず、やがて欠けぬ。心止めぬ人は、一夜の中にさまで変る様も見えぬにやあらん。病の重るも、住する隙なくして、死期既に近し。されども、未だ病急ならず、死に赴かざる程は、常住平生(じょうじゅうへいぜい)の念に習ひて、生の中に多くの事を成じて後、閑かに道を修せんと思ふ程に、病を受けて死門に臨む時、所願一事(しょがんいちじ)も成ぜず。言ふかひなくて、年月の懈怠(けだい)を悔いて、この度、若し立ち直りて命を全くせば、夜を日に継ぎて、この事、かの事、怠らず成じてんと願ひ

第241段:望月の円か(まどか)なる事は、暫くも住せず、やがて欠けぬ。心止めぬ人は、一夜の中にさまで変る様も見えぬにやあらん。病の重るも、住する隙なくして、死期既に近し。されども、未だ病急ならず、死に赴かざる程は、常住平 … Read more 第241段:望月の円か(まどか)なる事は、暫くも住せず、やがて欠けぬ。心止めぬ人は、一夜の中にさまで変る様も見えぬにやあらん。病の重るも、住する隙なくして、死期既に近し。されども、未だ病急ならず、死に赴かざる程は、常住平生(じょうじゅうへいぜい)の念に習ひて、生の中に多くの事を成じて後、閑かに道を修せんと思ふ程に、病を受けて死門に臨む時、所願一事(しょがんいちじ)も成ぜず。言ふかひなくて、年月の懈怠(けだい)を悔いて、この度、若し立ち直りて命を全くせば、夜を日に継ぎて、この事、かの事、怠らず成じてんと願ひ


徒然草第242段:とこしなへに違順(いじゅん)に使はるる事は、ひとへに苦楽のためなり。楽と言ふは、好み愛する事なり。これを求むること、止む時なし。楽欲(がくよく)する所、一つには名なり。名に二種あり。行跡(ぎょうせき)と才芸との誉なり。二つには色欲、三つには味ひ(あじわい)なり。万の願ひ、この三つには如かず。これ、顛倒(てんどう)の想より起りて、若干の煩ひあり。求めざらんには如かじ。 ーーーーー 永遠に終わりなく、順境(幸福)と逆境(不幸)とにこき使われることは、ただ一途に楽を求めて苦を逃れようとするた

徒然草第242段:とこしなへに違順(いじゅん)に使はるる事は、ひとへに苦楽のためなり。楽と言ふは、好み愛する事なり。これを求むること、止む時なし。楽欲(がくよく)する所、一つには名なり。名に二種あり。行跡(ぎょうせき)と … Read more 徒然草第242段:とこしなへに違順(いじゅん)に使はるる事は、ひとへに苦楽のためなり。楽と言ふは、好み愛する事なり。これを求むること、止む時なし。楽欲(がくよく)する所、一つには名なり。名に二種あり。行跡(ぎょうせき)と才芸との誉なり。二つには色欲、三つには味ひ(あじわい)なり。万の願ひ、この三つには如かず。これ、顛倒(てんどう)の想より起りて、若干の煩ひあり。求めざらんには如かじ。 ーーーーー 永遠に終わりなく、順境(幸福)と逆境(不幸)とにこき使われることは、ただ一途に楽を求めて苦を逃れようとするた


いでや、この世に生まれては、願はしかるべき事多かんめれ。御門(みかど)の御位(おんくらい)は、いともかしこし。竹の園生(そのふ)の、末葉まで人間の種ならぬぞ、やんごとなき。一の人の御有様(おおんありさま)はさらなり、ただ人も、舎人(とねり)など賜はるきはは、ゆゆしと見ゆ。その子・うまごまでは、はふれにたれど、なほなまめかし。それより下つ方(しもつかた)は、ほどにつけつつ、時にあひ、したり顔なるも、みづからはいみじと思ふらめど、いとくちをし。 法師ばかりうらやましからぬものはあらじ。『人には木の端のやう

1段:いでや、この世に生まれては、願はしかるべき事多かんめれ。御門(みかど)の御位(おんくらい)は、いともかしこし。竹の園生(そのふ)の、末葉まで人間の種ならぬぞ、やんごとなき。一の人の御有様(おおんありさま)はさらなり … Read more いでや、この世に生まれては、願はしかるべき事多かんめれ。御門(みかど)の御位(おんくらい)は、いともかしこし。竹の園生(そのふ)の、末葉まで人間の種ならぬぞ、やんごとなき。一の人の御有様(おおんありさま)はさらなり、ただ人も、舎人(とねり)など賜はるきはは、ゆゆしと見ゆ。その子・うまごまでは、はふれにたれど、なほなまめかし。それより下つ方(しもつかた)は、ほどにつけつつ、時にあひ、したり顔なるも、みづからはいみじと思ふらめど、いとくちをし。 法師ばかりうらやましからぬものはあらじ。『人には木の端のやう


徒然草5段:不幸に憂(うれえ)に沈める人の、頭(かしら)おろしなどふつつかに思ひとりたるにはあらで、あるかなきかに、門(かど)さしこめて、待つこともなく明し(あかし)暮したる、さるかたにあらまほし。顕基(あきもと)中納言の言ひけん、配所(はいしょ)の月、罪なくて見ん事、さも覚えぬべし。 ーーーーー 不幸で心配に沈んでいる人(出世の望みのない貴族)でも、剃髪して出家することを軽々しく決心したのではなくて、門を閉じて自邸の中にひきこもり、やることもなく日々を暮らしている。そういう人(世捨人・隠棲者)になりたい

徒然草5段:不幸に憂(うれえ)に沈める人の、頭(かしら)おろしなどふつつかに思ひとりたるにはあらで、あるかなきかに、門(かど)さしこめて、待つこともなく明し(あかし)暮したる、さるかたにあらまほし。顕基(あきもと)中納言 … Read more 徒然草5段:不幸に憂(うれえ)に沈める人の、頭(かしら)おろしなどふつつかに思ひとりたるにはあらで、あるかなきかに、門(かど)さしこめて、待つこともなく明し(あかし)暮したる、さるかたにあらまほし。顕基(あきもと)中納言の言ひけん、配所(はいしょ)の月、罪なくて見ん事、さも覚えぬべし。 ーーーーー 不幸で心配に沈んでいる人(出世の望みのない貴族)でも、剃髪して出家することを軽々しく決心したのではなくて、門を閉じて自邸の中にひきこもり、やることもなく日々を暮らしている。そういう人(世捨人・隠棲者)になりたい


徒然草3段:万(よろず)にいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉のさかづきの当(そこ)なき心地ぞすべき。露霜(つゆしも)にしほたれて、所定めずまどひ歩き、親の諌め、世の謗り(そしり)をつつむに心の暇(いとま)なく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。 さりとて、ひたすらにたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。 ーーーーー すべてにおいて優れているのに、女を好まないという男は、どこか間が抜けていて、水晶(玉

徒然草3段:万(よろず)にいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉のさかづきの当(そこ)なき心地ぞすべき。露霜(つゆしも)にしほたれて、所定めずまどひ歩き、親の諌め、世の謗り(そしり)をつつむに心の暇(いとま … Read more 徒然草3段:万(よろず)にいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉のさかづきの当(そこ)なき心地ぞすべき。露霜(つゆしも)にしほたれて、所定めずまどひ歩き、親の諌め、世の謗り(そしり)をつつむに心の暇(いとま)なく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。 さりとて、ひたすらにたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。 ーーーーー すべてにおいて優れているのに、女を好まないという男は、どこか間が抜けていて、水晶(玉


徒然草8段:世の人の心惑はす事、色欲には如かず。人の心は愚かなるものかな。 匂ひなどは仮のものなるに、しばらく衣裳に薫物(たきもの)すと知りながら、えならぬ匂ひには、必ず心ときめきするものなり。久米の仙人の、物洗ふ女の脛(はぎ)の白きを見て、通を失ひけんは、まことに、手足・はだへなどのきよらに、肥え、あぶらづきたらんは、外(ほか)の色ならねば、さもあらんかし。 ーーーーー 人の心を迷わすもので、色欲(性欲)に勝るものはない。人の心とは愚かなものであるな。 女の匂いなどはそれは本人の匂いではなく、服

徒然草8段:世の人の心惑はす事、色欲には如かず。人の心は愚かなるものかな。  匂ひなどは仮のものなるに、しばらく衣裳に薫物(たきもの)すと知りながら、えならぬ匂ひには、必ず心ときめきするものなり。久米の仙人の、物洗ふ女の … Read more 徒然草8段:世の人の心惑はす事、色欲には如かず。人の心は愚かなるものかな。 匂ひなどは仮のものなるに、しばらく衣裳に薫物(たきもの)すと知りながら、えならぬ匂ひには、必ず心ときめきするものなり。久米の仙人の、物洗ふ女の脛(はぎ)の白きを見て、通を失ひけんは、まことに、手足・はだへなどのきよらに、肥え、あぶらづきたらんは、外(ほか)の色ならねば、さもあらんかし。 ーーーーー 人の心を迷わすもので、色欲(性欲)に勝るものはない。人の心とは愚かなものであるな。 女の匂いなどはそれは本人の匂いではなく、服


徒然草7段:あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙(けぶり)立ち去らでのみ住み果つる習ひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。 命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。つくづくと一年(ひととせ)を暮すほどだにも、こよなうのどけしや。飽かず、惜しと思はば、千年(ちとせ)を過す(すぐす)とも、一夜の夢の心地こそせめ。住み果てぬ世にみにくき姿を持ち得て、何かはせん。命長ければ辱(はじ)多し。長くとも、四十(よそじ)に足らぬほ

徒然草7段:あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙(けぶり)立ち去らでのみ住み果つる習ひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。  命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、 … Read more 徒然草7段:あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙(けぶり)立ち去らでのみ住み果つる習ひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。 命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。つくづくと一年(ひととせ)を暮すほどだにも、こよなうのどけしや。飽かず、惜しと思はば、千年(ちとせ)を過す(すぐす)とも、一夜の夢の心地こそせめ。住み果てぬ世にみにくき姿を持ち得て、何かはせん。命長ければ辱(はじ)多し。長くとも、四十(よそじ)に足らぬほ