熟練した職人さん
職人の世界はたとえば料理人であれば
素材に合わせて
焼くか茹でるか決まるし
調味料の種類と量も決まるし
混ぜるタイミングも、どの皿にどう盛り付けるかも、
最善というものがあるのだから
そこまで到達すると
何も考えないようにさらさらと迷いなく進めるものだろう
だからそこにはクリエイティブな要素は限りなく少なくなってしまうのだと思う
その膠着を破るのが
多分新しい素材とか新しい調味料なんだろうと思う
たいていの顔なじみの素材は、
一見するなり、出来上がりが想像されて、
それ以外のことはしたくなくなるだろうと思う
しかしたまに、その範囲を逸脱した素材が出現するもので、
その時に、また一からの試行錯誤が始まり、
職人は、フレッシュマンの気持ちになって、
最高の一点を見つけ出すのだろう
自由に振舞っているようで自由度は極端に少なく
しかし新しい状況に出会って
最高の一点を決定するために野獣のように探求するのである