「原爆句抄」 松尾あつゆき 八月九日 長崎の原子爆弾の日。 我家に帰り着きたるは深更なり。 「月の下ひっそり倒れかさなっている下か」 十日 路傍に妻とニ児を発見す。 重傷の妻より子の最後をきく(四歳と一歳)。 「わらうことをおぼえちぶさにいまわもほほえみ」 「すべなし地に置けば子にむらがる蝿」 「臨終木の枝を口にうまかとばいさとうきびばい」
採録 ーーー その人は、「松尾あつゆき」という俳人で、明治37年(1904年)に、長崎県北松浦郡に生まれた。地元の高校を卒業後、商業学校の教員になり、その数年後、自由律俳句の大家、荻原井泉水(せいせんすい)を師事して、自 … Read more 「原爆句抄」 松尾あつゆき 八月九日 長崎の原子爆弾の日。 我家に帰り着きたるは深更なり。 「月の下ひっそり倒れかさなっている下か」 十日 路傍に妻とニ児を発見す。 重傷の妻より子の最後をきく(四歳と一歳)。 「わらうことをおぼえちぶさにいまわもほほえみ」 「すべなし地に置けば子にむらがる蝿」 「臨終木の枝を口にうまかとばいさとうきびばい」