鳥羽院の中宮待賢門院璋子に仕えた加賀という女房は、ある日誰という当てどころもなく、つまり、まだ恋もしていないのに、恋する男から忘れられ、棄てられた嘆きの歌を作ってしまった。 こうした場合、この歌を提出するのにちょうどの歌合が催されるのを待つということもあろうが、加賀はまだ若く、歌人としての名も知られておらず、歌合に招かれるほどの立場ではなかったのであろう。加賀はしかし、この歌を世に出したかったのだ。その歌、 かねてより思ひし事ぞふし柴のこるばかりなる歎きせむとは 待賢門院加賀
鳥羽院の中宮待賢門院璋子に仕えた加賀という女房は、ある日誰という当てどころもなく、つまり、まだ恋もしていないのに、恋する男から忘れられ、棄てられた嘆きの歌を作ってしまった。 こうした場合、この歌を提出するのにちょうど … Read more 鳥羽院の中宮待賢門院璋子に仕えた加賀という女房は、ある日誰という当てどころもなく、つまり、まだ恋もしていないのに、恋する男から忘れられ、棄てられた嘆きの歌を作ってしまった。 こうした場合、この歌を提出するのにちょうどの歌合が催されるのを待つということもあろうが、加賀はまだ若く、歌人としての名も知られておらず、歌合に招かれるほどの立場ではなかったのであろう。加賀はしかし、この歌を世に出したかったのだ。その歌、 かねてより思ひし事ぞふし柴のこるばかりなる歎きせむとは 待賢門院加賀