“人物探訪: 小野田寛郎の30年戦争 「いまの日本が失ったものを持っている戦前の  日本人の生の声が聞けるかもしれない」 ■1.「オレには戦争は終わっていない!」■ 「おい」と背後から声をかけられ、炊事のために火を起こして いた鈴木紀夫は立ち上がって、振り返った。声をかけた男は銃 を構え、夕日を背に近づいてきた。昭和49(1974)年2月20 日、フィリピン・ルバング島山中のことである。 「ボク、日本人です。ボク、日本人です」と鈴木青年は繰り返 し、ぎこちなく軍隊式の挙手の敬礼を二度した。男が鉄砲を自

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