方丈記4 身の上と住まい すべて世の中のありにくく、我が身と栖(すみか)との、はかなく、あだなるさま、またかくのごとし。いはむや、所により、身のほどに従ひつつ、心を悩ますことは、あげて数ふべからず。 もし、おのれが身、数ならずして、権門(けんもん)の傍らに居るものは、深く喜ぶことあれども、大きに楽しむにあたはず。嘆き切(せち)なる時も、声をあげて泣くことなし。進退安からず、立ち居(たちい)につけて、恐れをののくさま、例へば、雀の鷹の巣に近づけるがごとし。もし、貧しくして、富める家の隣に居るものは、朝夕
方丈記4 身の上と住まい すべて世の中のありにくく、我が身と栖(すみか)との、はかなく、あだなるさま、またかくのごとし。いはむや、所により、身のほどに従ひつつ、心を悩ますことは、あげて数ふべからず。 もし、おのれが身、数 … Read more 方丈記4 身の上と住まい すべて世の中のありにくく、我が身と栖(すみか)との、はかなく、あだなるさま、またかくのごとし。いはむや、所により、身のほどに従ひつつ、心を悩ますことは、あげて数ふべからず。 もし、おのれが身、数ならずして、権門(けんもん)の傍らに居るものは、深く喜ぶことあれども、大きに楽しむにあたはず。嘆き切(せち)なる時も、声をあげて泣くことなし。進退安からず、立ち居(たちい)につけて、恐れをののくさま、例へば、雀の鷹の巣に近づけるがごとし。もし、貧しくして、富める家の隣に居るものは、朝夕