CIAの武器は、巨額のカネだった。彼らが日本で雇ったエージェントのうち、もっとも大きな働きをしたのは、岸信介と児玉誉士夫だった。児玉は中国の闇市場で稀少金属の取引を行い、1.75億ドルの財産をもっていた。米軍は、児玉の闇ネットワークを通じて大量のタングステンを調達し、1280万ドル以上を支払った。 しかし児玉は、情報提供者としては役に立たなかった。この点で主要な役割を果たしたのは、岸だった。彼はグルー元駐日大使などCIA関係者と戦時中から連絡をとっていたので、CIAは情報源として使えるとみて、
採録 NYタイムズで20年以上、CIAを取材してきた専門記者が、膨大な資料と関係者の証言をもとに、その歴史を描いたもの。全体として、CIAが莫大な資金とエネルギーをつぎ込みながら、肝心のオペレーションではほとんど失敗して … Read more CIAの武器は、巨額のカネだった。彼らが日本で雇ったエージェントのうち、もっとも大きな働きをしたのは、岸信介と児玉誉士夫だった。児玉は中国の闇市場で稀少金属の取引を行い、1.75億ドルの財産をもっていた。米軍は、児玉の闇ネットワークを通じて大量のタングステンを調達し、1280万ドル以上を支払った。 しかし児玉は、情報提供者としては役に立たなかった。この点で主要な役割を果たしたのは、岸だった。彼はグルー元駐日大使などCIA関係者と戦時中から連絡をとっていたので、CIAは情報源として使えるとみて、