徒然草53段:これも仁和寺(にんなじ)の法師、童(わらわ)の法師にならんとする名残とて、おのおのあそぶ事ありけるに、酔ひて興に入る余り、傍なる足鼎(あしがなえ)を取りて、頭に被き(かずき)たれば、詰るやうにするを、鼻をおし平めて顔をさし入れて、舞い出でたるに、満座(まんざ)興に入る事限りなし。 しばしかなでて後、抜かんとするに、大方抜かれず。酒宴ことさめて、いかがはせんと惑ひけり。とかくすれば、頸(くび)の廻り欠けて、血垂り(たり)、ただ腫れに腫れみちて、息もつまりければ、打ち割らんとすれど、たやすく

徒然草53段:これも仁和寺(にんなじ)の法師、童(わらわ)の法師にならんとする名残とて、おのおのあそぶ事ありけるに、酔ひて興に入る余り、傍なる足鼎(あしがなえ)を取りて、頭に被き(かずき)たれば、詰るやうにするを、鼻をお … Read more 徒然草53段:これも仁和寺(にんなじ)の法師、童(わらわ)の法師にならんとする名残とて、おのおのあそぶ事ありけるに、酔ひて興に入る余り、傍なる足鼎(あしがなえ)を取りて、頭に被き(かずき)たれば、詰るやうにするを、鼻をおし平めて顔をさし入れて、舞い出でたるに、満座(まんざ)興に入る事限りなし。 しばしかなでて後、抜かんとするに、大方抜かれず。酒宴ことさめて、いかがはせんと惑ひけり。とかくすれば、頸(くび)の廻り欠けて、血垂り(たり)、ただ腫れに腫れみちて、息もつまりければ、打ち割らんとすれど、たやすく