うつ病患者の2週間以内の改善とその後の治療アウトカム:CRESCEND study
Improvement within 2 weeks and later treatment outcomes in patients with
depressive disorders: the CRESCEND study.
J Affect Disord 2011; 129: 183-190
Kim JM, Kim SY, Stewar t R, Yoo JA, Bae KY, Jung SW, Lee MS, Yim HW, Jun TY
背景 : 抗うつ薬の反応性を判定するために、通常、4 ~ 6 週間の投与が行われる。しかし、いくつかの報告では初期の改善度によりその後の治
療アウトカムが予測可能であることが示唆されている。自然観察的な国民コホート研究により、初期のハミルトンうつ評価尺度(HAM-D)スコアに
おける改善が、その後のアウトカム(うつ病(HAM-D)、不安(HAM-A)、全体的な重症度(CGI-s)、社会職業的機能(SOFAS))を予測できるか
否かを検討し、さらに初期の改善と関連する社会人口学的 ・ 臨床的因子について検討した。
方法 : 韓国全土の 18 の病院から参加者を募集した。全例がうつ病性障害の DSM-IV 診断基準を満たしており、HAM-D スコアが 14 点以上で
12 週間以内の抗うつ薬治療を受けていた。治療は自然観察的であり、各臨床医が自由に抗うつ薬および併用薬の種類、用量、投与計画を決
定した。治療開始 2 週間以内に HAM-D スコアがベースラインと比較して 20% 以上低下した場合を初期の改善と定義した。その後の治療アウト
カムは 4 週、8 週、12 週の時点で評価された。
結果 : 研究に参加した患者 568 例において、初期の改善は 12 週後の治療アウトカムを高い感度および高い陰性適中率をもって予測した。
HAM-D および HAM-A を指標にした 12 週後の反応に対する予測値(ROC 曲線下面積)は、CGI-s および SOFAS を指標にした反応に対する
予測値よりも高かった。初期の改善と関連がみられた因子は、高月収、ベースライン時の不安症状が低いこと、社会職業的機能レベルが高いこ
とであった。初期に改善が認められた患者は、抗うつ薬の単剤療法を受けていることが多かった。
限界 : 本研究は観察研究であり、かつ治療法が自然主義的であった。
結論 : 抗うつ薬による初期の改善はその後のアウトカムを強力に予測し、高収入、不安の程度が低いこと、社会職業的機能レベルが高いことと
関連した。